先週金曜日に取材したある団体主催の表彰式で、「先ほど、鳥取で地震があり、ヒヤッとした」と始まった主催者代表のあいさつ。続きを聞くと、「ヒヤッ」にとどまって安堵(あんど)したのは、鳥取の被害状況ではなく、来賓として出席予定だった省庁の幹部らが無事に出席したことについてだった◆直前の地震発生で式典が無事開催できるか、主催者としては頭がいっぱいだったのだろう。被災地を軽視していたわけでもないだろう。それでも、地震の話に触れながら、現地の安否を気遣う言葉が先に出なかったことが気に掛かった◆その前日、ある企業で活躍する女性職員の合同インタビューの際、ある記者が「もっと女性が働きやすくなるために必要だと思うことは」と質問した。女性はその問いにしばらく沈黙した後、「自分は女性だからと意識したことはない。男性と女性を区別する必要はないんじゃないか」と答えた◆地震発生後のあいさつと女性技術者インタビュー。一見まったく関係のない出来事だが、共通するのは、どちらも当事者の視点が足りなかったこと。もちろん自戒を込めて。(ほ)
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