10月に入り、ますます日が短くなったと感じる。今秋の東京は天候不順による記録的な日照不足も加わって、暗くなるのが随分と早い▼先日、保育士をしている女性(50代後半)から「職場で『秋の日は釣瓶(つるべ)落とし』と言ったら、若い同僚に『ツルベ? 何ですかそれ』と聞かれて困った」という話を聞いた▼最近は井戸などめったに見掛けることがないから、釣瓶が何のことか分からないのは当然と言えば当然。ただ、こうした慣用表現は実物を知らなくても伝わりそうなものと思うが、必ずしもそうではないようだ。そのうちに「井戸端会議」といっても「何それ?」と聞かれるようになるかもしれない▼文化庁が先月発表した15年度「国語に関する世論調査」によると、いわゆる「ら抜き言葉」のうち「見れた」「出れる」を使う人が若者を中心に増加。正しいとされる「見られた」「出られる」を使う人より初めて多数派になったという。ら抜き言葉を目の敵にする年配者は多いが、これまた分が悪い▼言葉の変化を「日本語の乱れ」などと嘆くのは年寄りの通弊-そう思える中年以上はどれだけいるだろう。
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