2016年10月12日水曜日

【回転窓】日本に根付く企業メセナ

日本語よりも外来語で表現した方がなじみやすい言葉は多い。例えば「アーカイブ」を「記録保存館」などと言い換えてもしっくりこない▼企業の文化活動を現す「メセナ」も今や市民権を得た外来語であろう。芸術文化支援を意味するフランス語で、「古代ローマ時代の皇帝アウグストゥスに仕え、詩人や芸術家を手厚く庇護した高官マエケナスの名に由来する」(企業メセナ協議会ホームページから)という▼文化活動の主催や文化施設の運営、顕彰事業などメセナの対象は幅広い。活動プログラムのうち2割ほどが20年以上続いているとの調査結果もあり、日本でも企業メセナが着実に根付いていることが分かる▼建設産業でも長年続くメセナ活動は少なくない。安藤ハザマが奉納協賛する第35回「明治神宮薪能」が10日に東京都渋谷区の明治神宮で行われた。1982年に協賛を始め、毎年秋に一般公募の1000人が無料で招待されている。今年も幽玄の世界に多くの観客が酔いしれた▼時代は変わろうとも、企業の一過性ではない支援活動が芸術・文化の振興と継承に大きく貢献することに変わりはない。

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