日本の近代化に重要な役割を果たした土木インフラを顕彰する土木学会の「選奨土木遺産」。2000年の創設から今までに全国で347施設が選定されている▼初めは毎年10件程度だった選定件数が近年は増加。今年は24件と過去最多の25件に迫った。増加の背景には、選定対象が幕末~昭和20年代に竣工した施設から江戸~昭和30年代へと広がり、対象分野も測量基線など多岐にわたるようになったことがある▼もう一つは、地元からの選定要望が相次いでいること。東京・上野の国立西洋美術館の世界遺産登録で一帯の観光客が増えたこともあり、地域の観光の目玉にしたいと選定を求める首長も多いそうだ▼土木学会の塚田幸広専務理事は「遺産というと過去のものと思われがちだが、今も現役で使われている施設が多い。選定を通して各施設が地元に親しまれ、地域でどんな役割を果たしてきたのかが次世代に伝わってほしい」と話す▼学会は携帯端末で各遺産の位置を発信するシステムを整備するという。最近は街歩きもブーム。一般市民にインフラの価値を知ってもらう絶好の追い風として生かしたい。
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