2016年10月25日火曜日

【人材育成に利点】日本生産性本部の働き方調査、正社員主流も長時間労働に懸念

産業界労使や学識者で構成する日本生産性本部(茂木友三郎会長)がまとめた16年版「雇用・人事変容調査」結果によると、上場企業の人事労務担当者の多くが「働き方は今後も正社員が主流」としながら、転居を伴う異動や長時間労働が引き続き、対処するべき課題になると考えていることが分かった。

 多様で柔軟な働き方の実現策は「フレックスタイム制の採用」が最多で、回答企業の約半数が導入していた。一方、在宅勤務制や専門業務型裁量労働制、短時間正社員制度の導入率は低い。業績や成果、貢献度に比べて賃金水準が高いと思われる社員の年齢層は「50歳代」との回答が49・6%と約半数を占めた。

 この調査は全上場企業を対象に1997年から実施している。今回は2177社に調査票を郵送し、133社から回答を得た(回収率6・0%)。実施時期は7月下旬~8月下旬。

 企業から見た正社員の利点には「人材の柔軟な異動・配置が可能」「長期的な視点に立った育成ができる」などが挙がった。一方で回答者の60・9%が「転居を伴う転勤・異動があり生活基盤が安定しにくい」、33・8%が「残業や休日出勤など長時間労働になりがち」と問題点を指摘した。

 賃金制度の導入状況は仕事や職務の内容を反映する「役割・職務給」の導入率が高い。管理職層は74・4%、非管理職層では56・4%が採用している。多くの企業は役割・職務給と業務遂行能力を反映する「職能給」を併用。年齢・勤続給の導入率は漸減傾向にあり、管理職層は24・8%、非管理職層では49・6%となっている。

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