「これまでは放射状の道路、これからは環状型道路の時代がやってくる」。茨城県の橋本昌知事は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の同県内区間が全線開通した喜びと、その効果への期待をそう表現した。
同区間は、茨城県内の新たな東西交通軸となるだけでなく、東名高速道路から東関東自動車道までの六つの放射状高速道路を接続し、関東全域を結び付ける一大交通網を完成させた。観光振興と企業誘致の促進に、県内から期待が集まっている。
26日に開通したのは、境古河インターチェンジ(IC、境町)を起点に坂東IC(坂東市)、常総IC(常総市)を経由してつくば中央IC(つくば市)に至る延長28・5キロの区間。当初は15年度中の完成を予定していたが、軟弱地盤対策を強いられ、開通時期がずれ込んだ。
石井啓一国土交通相は、「首都圏3環状道路の一部を構成する圏央道は、首都圏の渋滞解消や経済の活性化、観光振興、防災機能の強化に寄与する」とその効果を語る。
茨城県内区間の完成によって、▽東名高速▽中央道▽関越道▽東北道▽常磐道▽東関東道-の放射道路が結ばれ、関東地方全域に効果が及ぶと期待されている。特に茨城県は、観光と企業誘致の切り口から大きなストック効果を見込む。
「ブランド総合研究所」が発表する「47都道府県魅力度ランキング」で4年連続(13~16年)最下位に甘んじている茨城県。県内の観光地の魅力を積極的にPRしており、圏央道による交通利便性の向上を推進力にして観光振興を一層加速させたい考えだ。
開通による具体的な効果としては、日光・那須(栃木県)、世界文化遺産の富岡製糸場(群馬県)、小江戸と呼ばれる川越(埼玉県)などの観光地と茨城県内あるいは成田空港(千葉県)の連結性が強化される。加えて同空港と神奈川県の湘南エリアが都心を経由せずに結ばれるため、渋滞のリスク軽減や移動時間の短縮などの効果が見込まれる。
圏央道常総ICの全景。沿線地域では大型物流施設の 立地がさらに増えると見込まれている |
茨城県内では、圏央道の開通を見越して、大型物流施設や工場を建設する企業数が増え、工場立地件数は3年連続(13~15年)で全国1位を記録した。沿線では土地区画整理事業も展開され、一層の企業立地が見込まれている。
茨城県を含めた圏央道沿線地域に立地する大型物流施設は既に約1600件を数える。茨城県内区間の開通によって、輸送時間を短縮できることから、大型物流施設がさらに増えるとの見方もある。
茨城県内区間は暫定2車線で開通しており、早期の4車線化を望む声が多い。石井国交相は「これから実際に交通量が増えていけばおのずと4車線化という方向に進むだろう。そのためにも、まずは大いにご利用いただきたい」と幅広い利用を呼び掛けている。
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