建造物が国の重要文化財に指定される際の主な基準は、意匠や技術が優れ、歴史的、学術的に価値が高いこと。築年数の基準は特に定められていないそうだ▼米国の建築家フランク・ロイド・ライトが設計した「旧山邑家住宅」(兵庫県芦屋市)は完成から50年で重文指定された。今から50年前といえば1967年。身近にある建築がいつ重文になってもおかしくないということだろう▼ただし専門家はともかく、一般の人にとっては近代建築の価値は分かりにくいものでもあるようだ。先日、モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエに師事した前川國男の作品が残る自治体が「近代建築ツーリズムネットワーク」を作り、近代建築を観光資源にしようと活動を始めた▼同ネットワークの調査では、近代建築の見学を目的とした旅行の経験者は全体のわずか8%にとどまり、近代建築の「良さが分からない」「知識がない」と否定的な声が多かった▼昨年にはコルビュジエの作品群が世界遺産となり、近代建築への注目度を高める良い機会でもある。近代建築の価値を素人も分かるよう伝える努力が専門家にはもっと必要だろう。
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