◇高架橋の劣化診断ができる“橋のお医者さん”に◇
もともと物理の力学が好きで、大学進学時に土木の道を選んだ。名古屋工業大学工学部社会開発工学科から大学院に進み、地盤関係を専門に勉強した。大学時代に建設コンサルタントでアルバイトをしていた時、一緒に働いていた社員の人たちが土木のことが本当に好きで、楽しそうに仕事をしている姿を見て「自分も土木の仕事をしよう」と決めた。
「せっかく就職するならずっと続けられるような会社」と考え、女性が働く環境が整っている今の職場に。08年に入社し、今年で9年目。入社後、最初に配属されたのが企画調査部で、中期経営計画や将来計画の作成などに携わった。「正直、当公社の仕事がどういうものかあまりイメージできていなかったのですが、全体計画に関わる仕事に携わることで、会社の将来ビジョンや仕事の流れを知ることができてよかった」という。
4年目に構造物の保全に関わる部署に異動。定期点検の取りまとめ業務などを担当した。「ずっと現場に出たいと思っていたので、現場中心の職場になり、自分で言うのもおかしいのですが、のびのびと仕事をさせてもらいました。点検計画の立案や点検、補修後の評価などを行っていたのですが、実物の構造物を見ていると、写真や資料から得られる情報だけでなく、現場へ行くことで分かることがたくさんありました」。
一番記憶に残っているのが中央道笹子トンネルの天井板崩落事故後の緊急点検。「名古屋高速道路の東山トンネルにも天井板の構造があったため、職員総出、昼夜交代制で点検しました。大変でしたけど、自分の仕事が人命に関わっていて、いい加減な仕事は絶対できない」と強く感じた。
保全の部署にいる時にコンクリート診断士と土木鋼構造診断士の資格を取得。「試験内容が仕事と直結していたので取りやすかった」と謙遜するが、忙しい仕事の合間を縫って勉強した。「構造物の劣化状況を的確に診断するには、いろいろな知識が求められます。あらゆる可能性を考え、情報を集め取捨選択し、構造物の損傷・劣化原因を推測する。これは性格なのかもしれませんが、そうした自分で考え、推理していく過程が私は結構好きみたいです」。
現在、経営企画部で予算管理や国土交通省の窓口を担当している。将来の夢を聞くと、「また現場に出たいです。構造物に対して的確な判断ができる、いわば“橋のお医者さん”のようになりたい。そのためにもしっかりと知識を身に付け、さまざまな経験を積んでいきたい」。
(経営企画部経営企画課、せや・ちえ)
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