2015年7月31日金曜日

【今後の活躍に大きな期待】駐トリニダード・トバゴ大使・岡田光彦氏/近く赴任、「防災対策支援したい」

岡田氏は、国交省港湾系技官で初めて大使に就任した
国土交通省で東北地方整備局長などを務めた岡田光彦氏(60)が、駐トリニダード・トバゴ大使に就任し、8月初旬に赴任する。国交省の港湾キャリア技官出身では初の大使就任となる。トリニダード・トバゴなど中米・カリブ諸国に対し日本政府は自然災害や気候変動対策への協力を表明している。岡田氏はパナマの日本大使館に勤務した経験もあり、国際派技官として、両国の「懸け橋」になることが期待されている。
 就任は6月29日付。「お役に立てるのならばお引き受けしよう」。打診があった時の素直な気持ちをそう語る。
 トリニダード・トバゴの日本大使館は、同国を含めカリブ共同体(カリコム=14カ国1地域で構成)に加盟する10カ国を管轄する。14年7月に日・カリコム首脳会合が開催され、安倍晋三首相が「日本の対カリコム政策」を表明。小島嶼(しょ)国特有の自然災害対策や気候変動対策に協力することなどが盛り込まれた。
 「カリコムは日本同様に島国で、台風被害など国土の脆弱(ぜいじゃく)性の問題を抱えている。日本が得意とする防災技術を使い、自然災害や気候変動などの対策を支援していきたい」と岡田氏。その際「古巣の国交省にも協力をお願いしたい」とも。
 岡田氏は東京都出身。77年東大工学部を卒業し、運輸省(現国交省)に入省。05年から海事局国内旅行課長、08年から東北地方整備局長などを歴任して退官し、国際臨海開発研究センター理事長を6月まで務めた。学生時代から海外で仕事がしたいと思い、独学で英語を勉強。1984年から3年間、パナマの日本大使館に勤務し、第2パナマ運河の代替案調査などに携わった経験もある。
 趣味はスキーと登山。「日本百名山制覇まで残り10程度なので、戻ってきて達成したい」と話している。(おかだ・みつひこ)

【回転窓】外で遊ばぬ子どもの言い分

 今週に入り、通勤電車の車内から学生が減り、夏休み到来を実感した方も多いのではないか。静かな車内を見ながら、出勤前に隣家の子どもが母親に勉強を促される声を聞いたことを思い出し、夏休みの宿題だったかと得心した。塾やサッカークラブに通っているから宿題は負担だろう▼最近は、昔に比べると屋外で遊ぶ子どもの姿がずいぶん少なくなったように思う。国の調査によると、塾通いや習い事の多さ、パソコンや携帯端末によるゲームの普及がその理由として挙がっていた。だが、当の子どもの言い分は異なるようだ▼隣家の子どもに聞くと、公園は禁止事項が多くて興味を引く遊具もないという。緑地はあるが、カブトムシなどの昆虫が来る樹木はない。川はコンクリートで囲まれ、水に近づくことは禁止だ▼子どものけがなどを恐れて、面白味のない公園を作り、川からも遠ざける。維持管理の容易さを優先し、緑地からは生き物が集まる落葉樹を減らしてしまう。そんな大人の都合が、子どもから外遊びを奪っているのかもしれない▼子どもの辛らつな意見に、インフラの在り方を考えさせられた。

【どうなる新国立競技場】槇文彦氏らが会見、進め方で見解示す

会見する槙氏㊧ら=7月30日都内で
 2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の整備計画見直しをめぐり、建築家の槇文彦氏を代表とするグループが30日、政府が検討する新国立競技場の今後の進め方に関する見解を公表した。新たな競技場は、安全性、集客力、景観、維持管理、首都圏各都市による機能分担を考慮し、旧競技場とほぼ同じの5万~6万人を収容する規模にするべきだと指摘。大会中は仮設席を設けて8万人を収容することを提案し、その具体策として2案を提示した。整備予算は当初想定の1300億円未満とした。近く政府に提出する。
 一部を仮設とする新競技場案は、小判形の本設部分(収容数5・5万人)の外周に仮設部分(2・5万人)を設けるA案と、小判形の本設部分(5・5万人)の片側先端部を大会中だけ延ばして仮設部分(2・5万人)とし、大会終了後に小判形に戻すB案の二つ。両案ともに客席上部には屋根を架ける。
 施設規模については、▽災害時や緊急時に全観覧者がすぐに避難できる周辺空地の確保▽8万人を集められるスポーツチームが日本にない▽皇居から代々木公園にかけて連続する緑地は風致地区であり、景観的、生態的、防災的に貴重で重要な存在▽修繕更新を踏まえた過大な観客席と冷房設備の大会後の撤去▽横浜、調布、さいたまの既設の大規模競技場との役割分担-の五つの観点を考慮する必要があると指摘した。

 ◇事業費は1300億円未満で◇

 新競技場の中心的機能についても、世界のスポーツ施設の潮流は種目別専用施設を志向し、機能性が劣る兼用(複合)施設ではないと強調。工事費も、過去の五輪都市の主会場の建設費を考えると、当初の1300億円でも十分すぎ、これを超える理由はどこにもないとした。
 30日に都内で会見した槇氏は、当初案の白紙撤回を歓迎する一方、設計から施工にかける時間が迫っていることに懸念を表明。政府がコンペ方式で新デザインの決定を検討していることについては「いいアイデアを出したところを選定すべきだ。建築家、施工者の腕の見せ所になる」と述べた。
 現時点で政府からコンペの審査員への要請はなく、自身やグループでコンペに参加する意思もないとした上で、「国民に50年、100年後に愛される施設ができるかを見守りたい」と中立の立場で政府の動きを注視する考えを示した。
 デザイン監修の契約解除を通告された英建築家ザハ・ハディド氏の事務所(ザハ・ハディド・アーキテクツ、ZHA)が28日に安倍晋三首相に計画見直しに協力する意向を伝えたことには、「政府は白紙撤回といっている。再コンペに参加するかはご自身で決めることだ」と話した。
 適正な工事費については「7万2000人を収容できる横浜の日産スタジアムは600億円でできた。恥ずかしいものではない」と述べるにとどめた。

【大臣!!!!!】子ども霞が関見学デー開催、小中学生が太田昭宏国交相を質問攻撃

子どもたちの質問攻めに太田大臣もたじたじ!?
 太田昭宏国土交通相は30日、全国から集まった小中学生9人を大臣室に招き、懇談した。東京・霞が関の官庁街で開かれた夏休み企画「子ども霞が関見学デー」の一環。太田国交相は国交省の仕事に興味を持ってもらうため、子どもたちの素朴な質問に分かりやすい言葉を選んで丁寧に答えていた。
 「好きなダムや橋は」と聞かれた太田国交相は、佐久間ダム(静岡県佐久間町、愛知県豊根村)と黒部ダム(富山県立山町)を挙げ、橋については日本企業が施工したベトナム・ハノイのニャッタン橋の写真を示し「ベトナムの人はみんな知っている」と説明した。
 小中学生からは「お休みはあるんですか」「子どものころの夢は」といった子どもらしい質問のほか、「道路の老朽化対策はどう進める」「防災教育の取り組みは」など大人顔負けの質問も出て、太田国交相が「国会よりも(答弁が)大変」と冗談を言う場面も。
 太田国交相は懇談後、見学デーの目玉の一つとして同省正面玄関で行われていた高所作業車やミニパワーショベルの試乗体験イベントの様子も視察し、ショベルの試乗も行った。体験イベントは建設業の魅力を子どもたちに伝えるのが狙いで、国交省が建設業界団体などとつくる建設産業戦略的広報推進協議会が企画。太田国交相は視察後「こうした建機に触れてもらうことが大切だ」と話していた。

【昇給は平均1万5325円】15年賃金交渉、7割以上がベア獲得/日建協調べ

 日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、植村芳輝議長)がまとめた15年賃金交渉結果によると、加盟36組合のうち26組合(前年6組合)がベースアップ(ベア)を獲得した。ベアは組合員数を考慮した加重平均で前年比1・49%増の5768円、各加盟組合が得たのは600~1万円だった。ベア獲得組合が7割を超えたのは22年ぶり。定期昇給とベアを合わせた昇給額(加重平均)は3・95%増の1万5325円となった。
 調査には33組合が回答した。月例賃金は妥結に至っていない2組合を除く31組合が前年を上回った。一時金が増えたのは24組合、前年と同水準が4組合。妥結した28組合の一時金は3・52カ月(加重平均)となった。年収は、同年齢加重平均ベースで前年比5・35%増となる。
 初任給は24組合で上昇し、うち17組合が会社から提示があった。日建協は初任給の要求基準を21万円(22歳総合職)と設定しており、達成は27組合に増えた。
 ただ、組合側が要求した賃金水準とは月例、年収とも依然かい離があり、引き続き改善を求めていく。年収は底上げされているが、組合間の年収の差は拡大傾向にあるという。

2015年7月30日木曜日

【どれにしようかな…】今週末は水関連のイベントがいっぱい

今やダムは観光スポット。
見て、体験して、多くの人に魅力を感じてほしい
8月1日からスタートする「水の週間」にあわせて、水資源機構が管理する施設で今週末、さまざまなイベントが開催される。

 茨城県の霞ヶ浦では2日、行方開発公社と一緒に「水の週間イベントin霞ヶ浦」が行われる。霞ヶ浦ふれあいランド(茨城県行方市玉造1234)を会場に、湖上視察や水質検査体験、水遊びなどのアトラクションを用意している。
 
 千葉県東庄町では、「利根川河口堰フェスタ」を2日に開催。河口堰の操作室が見学できたり、船上巡視体験ができたりなど、親子で楽しめるアトラクションが盛りだくさんだという。

 埼玉県秩父市にある浦山ダムでは、ダム内施設の見学、巡視船の乗船体験、水やダムに関する勉強会、スタンプラリーなどを実施。地元商工会によるフリーマーケットや出店も予定しており、「この機会に水の大切やダムの新たな魅力を発見し、楽しんでほしい」としている。

 学校が夏休みに入り、特に小学生がいる家庭では「自由研究はどうするかなー」と頭を悩ませる親御さんも多いはず。自由研究の出来不出来によって、秋以降の親の立場も微妙に変わってくるので、迷っている方はぜひ、この機会に水の週間関連イベントに足を運んでみては?

回転窓/運用で高まるインフラの価値

 本社がある東京・新橋までの通勤に利用するJR東海道線。その車内広告に最近、見慣れぬ地域の広告が増えた。埼玉や群馬、栃木など北関東方面の商業施設やマンション、観光イベントの案内などが目立つ▼3月に「上野東京ライン」が開業。従来は東京駅止まりだった東海道線が高崎線や宇都宮線と相互直通運転を始めた効果の一つだろう。沿線の民間企業などは、これまでより遠くからも人を呼び込もうとPRに熱がこもる▼上野~東京間約3・8キロの新設路線により、国内ワーストを争う混雑率だった山手線・京浜東北線の上野~御徒町間の混雑が緩和。観光・レジャー目的の利用者も増え、経済的効果は小さくない▼一方で、ダイヤが乱れた時には、つながっている路線に遅れの影響が広く及ぶ。人の流れが変わり、比較的すいていた路線の混雑率が高まるなどマイナス面も…。JR東日本の冨田哲郎社長は「輸送障害などへの対応を強化し、サービスの品質を高めたい」と話す▼インフラの価値は、ハードをどう運用するかによって大きく変わってくる。継続的な努力なしに、ストック効果は引き出せない。

【東北の現場から】東北整備局南三陸国道/吉浜釜石道路 大船渡・釜石市境周辺工事

建設中の唐丹第1高架橋。出来高管理にドローンを活用している
◇新鍬台トンネル、16年春に工事ピーク◇

 南三陸国道事務所の本年度の事業費は約354億円と、12年4月の事務所開設以来、最大規模となる。ただ、新規の発注工事は道路改良などが4件程度と少ない。事業費のほとんどは昨年度までに発注した工事を進めるためのもので、一部は用地取得に充てられる。
 同事務所の担当区間では、15年度内に吉浜道路(岩手県大船渡市三陸町越喜来~吉浜、延長3・6キロ)が開通する。同事務所管内で新たな区間が開通するのは昨年3月の高田道路(陸前高田IC~通岡IC)以来となり、地域の期待も高まっている。
 唐丹第2高架橋を約1キロ南下した場所にある唐丹第1高架橋の現場では、大林組が導入した4枚羽の小型無人機(ドローン)が施工中の橋脚の周りを旋回していた。上空から構造物を撮影して工事の様子を詳しく把握し、出来形管理に生かしている。

 ◇専用プラントで生コン供給◇

 航空法の規制を受けるが上空250メートルの高さまでなら飛行でき、あらかじめ登録したルートを自動操縦で飛行・旋回する。地上のモニターで確認しながら構造物を撮影し、コンピューターで複数の写真を組み合わせて3次元の画像を作成する。
 同社が導入したドローンはフル充電の状態で20分程度飛行できる。飛行中に事故が起きないよう、バッテリーの残量が40%を切ると自動的に離陸場所に戻るよう設定してあるという。半年以上前に全社で4機のドローンを導入した。東北では、岩手県山田町や釜石市などの復興まちづくりで土工管理などにも活用している。
 第2高架橋は橋脚の上に屋根を設置し、雨天でも橋上で安全にコンクリート打設などの作業を行えるようにした。天候に左右されず安全かつ速やかに工事を進めるための工夫だ。進ちょくは約40%。17年3月にも上部工が連結する。

新鍬台トンネルの内部。
発破時には安全対策と効率施工を目的にバルーンを配備する
 さらに南下し、大船渡・釜石市境を越えてすぐのところに、三陸道で最も長い新鍬台トンネル(延長3330メートル)の現場がある。専用の生コンプラントを設けたほどの大規模なトンネル工事で、前田建設が施工を担当している。
 15年春に掘削を開始し、起点の大船渡側からこれまでに200メートル、終点の釜石側から40メートルを掘り進めた。進ちょくは約25%。1日当たり120人が作業に従事している。16年春には180人に増員する予定だ。発破は1日4回行うが、そのたびに作業員が坑外に避難しなくても済むよう、坑内にバルーン状の大きな幕を張って掘削を進めている。
 被災地で復興工事が活発化している影響で、生コンクリートの調達は場所によって今も滞ることがある。同現場では釜石市内に設けた専用プラントから生コンの供給を受けながら、1日6・8メートルずつ掘削を進めている。
 延長が3キロ超の長いトンネルのため発生するズリの量も多い。発生土は釜石市のかさ上げ工事に使う盛り土などに転用している。新鍬台トンネルの現場から吉浜湾口方面へ2キロほど南に下ると、新白木沢橋の施工が進められていた。吉浜IC付近に建設する橋梁で、これまでに橋台が完成、現在は前田建設が大船渡側から順番に三つの橋脚を施工している。


 工事は7日時点で30%程度まで進んだ。来年10月には上部工担当の宮地エンジニアリングが橋桁を架け終える予定だ。

【見学会、真っ盛り】土木学会新潟らが新潟市で「船で巡る親子見学会」開く

万代橋や柳都大橋を水上から眺めた
 土木学会関東支部新潟会と日本建設業連合会(日建連)北陸支部は29日、「船で巡る土木施設親子見学会」を開いた。市民の社会資本整備に対する理解度促進と社会貢献活動の一つとして実施された見学会には親子合わせて29人が参加した。
 新潟市中央区の北陸地方整備局新潟港湾・空港整備事務所から船に乗って、信濃川に架かる柳都大橋、万代橋を下から眺め、佐渡汽船ターミナル、臨海埠頭などを船上から見学した。参加者は、普段は見ることができない景色を眺め満足そうにしていた。下船後は、新潟港湾・空港整備事務所の敷地内にある水理実験場を見学、入船みなとタワーから市内を一望した。

【夏休みの貴重な体験になったかな?】子ども霞が関見学デー始まる/国交省には高所作業車登場

ちびっこ職人さん、仕事の仕上がり具合いかがですか?
 東京・霞が関の官庁街を舞台に行われている夏休み企画「子ども霞が関見学デー」が29日に始まり、国土交通省など各省は親子連れでにぎわっている。国交省ブースの一部では、子どもたちが地上約15メートルまで上昇する高所作業車に乗ったり、壁塗り作業の体験で左官業の職人気分を味わったりしていた。30日まで行われている。
 建設業の体験コーナーは、国交省が建設業界団体などとつくる建設産業戦略的広報推進協議会が企画した。

高所作業車からは何が見えたかな?
 同省正面玄関にはミニパワーショベルが3台運び込まれ、子どもたちが自ら操作してカラーボールをすくう試乗体験を実施。予約して体験したという男の子は「緊張したけど、操作は楽しかった」と笑顔で話していた。高所作業車に乗り込んだ子どもたちは霞が関の景色を楽しんだり、手を振ったりしていた。
 ミニパワーショベルや高所作業車の体験には全国建設業協会(全建)と東京建設業協会(東建)が協力している。
 同省10階の会議室に設けられたブースでは、こて塗り・壁塗り体験が行われ、左官業の職人から手ほどきを受けながらこてで壁を塗っていた。
 茶庭の境に印として置く「関守石文鎮」づくりでは、造園業の職人が見守る中、色鮮やかなひもを丁寧に石に結び着けていた。

【誕生から半世紀】著者に聞く/『筑波研究学園都市論』をまとめた政策研究大学院大学客員教授・三井康壽氏

誕生から半世紀、筑波研究学園都市の歩みを書き記した
◇求心力持ち「自立都市」で継続発展を◇

 筑波研究学園都市(茨城県)の建設が、1963年に国家プロジェクトとして閣議了解されてから50年以上がたつ。元国土庁事務次官の三井康壽政策研究大学院大学客員教授は、この都市計画づくりなどに携わった一人で、その理念や仕組み、建設の歴史を『筑波研究学園都市論』(鹿島出版会)にまとめた。これからの筑波研究学園都市にも視線を向けた新著について話を聞いた。

 ――出版に至った経緯は。

 「東京一極集中の是正と、科学技術振興という目的が一致したことで、筑波研究学園都市は整備された。国や自治体、日本住宅公団(現都市再生機構)、住民、企業などが一生懸命に取り組んできた成果であり、2013年に50周年を迎えたことに感慨無量の思いだった。だが、50年という長期間にわたる生成発展をまとめたものもがなかったため、私なりに書き残しておきたいと考えた」

 ――筑波研究学園都市と関わりを持ったのは1960年代にさかのぼる。

 「1967年、建設省の都市計画課にいた時からで、1919年に制定された都市計画法を全面的に改正するための作業に力を入れていたころだった。私も若手の一人として携わっていた時期で、そこに筑波研究学園都市に関わる都市計画決定の案件が持ち込まれた。当時の都市計画決定は国が行う仕組みで、いろいろと工夫して筑波研究学園都市の都市計画をまとめた。それは特別なやり方であり、事業用地を確保するために一団地の官公庁施設を都市計画決定することと、新住宅市街地開発事業、区画整理事業の三つを組み合わせるというものだった」

 ――その後に茨城県へ出向して企画部長を務める。

 「県に出向した1980年当時、いろいろな公共事業の計画があり、筑波研究学園都市では国際科学博覧会を開こうとしていた。かつて都市計画に携わった筑波研究学園都市は、既におおむねでき上がっていたが、人口がなかなか集まらず、当初計画の20万人都市とするにはどうするかという問題があった。東京から移転してきた研究機関で働く人などには単身赴任者が多く、その家族が東京にいたままでは人口が増えない。人口が増えなければ商業施設なども増えない。こうした時期が長く続き、人口を増やすのと同時に、新旧住民の融和を図ることも大きな課題だった」

 ――どのような施策を講じたのか。

 「人口を増やすには経済的な力を付ける必要があった。県は国際科学博覧会の開催を契機に、その跡地を公園ではなく工業団地にして優良な企業を誘致しようという方針を取る。そうして国際科学博覧会の成功でつくばのネームバリューも上がり、谷田部町と大穂町・豊里町に二つの工業団地を整備した。これがつくばを発展させる一つの大きな起爆剤になったと思う」

 ――2005年8月、つくばと都心をつなぐつくばエクスプレス(TX)が開通した。

 「1980年に県が作成した『第2期茨城県民福祉基本計画』の中に、『第2常磐線の具体化に努める』と鉄道新線のことが初めて公式に記載された。そして国や関係都県、鉄道事業者などとの議論を積み重ねた結果、82年に運輸政策審議会で審議されることになり、新線構想は実現に向けて軌道に乗っていく。ただ、私には迷いがあった。どこかの都市に従属するのではなく、自立都市というコンセプトで整備されたのが筑波研究学園都市。第2常磐線ができると、都市の自立性が失われるのではないかという懸念を持っていた」
 「第3セクターが事業主体となってTXは開通し、非常に便利になった。逆に便利な鉄道ができたことで、他の都市へ通勤する人が増える結果となり、やはり筑波研究学園都市の自立性が弱まる傾向は否定できないと言える。しかし、筑波研究学園都市の人口が計画の20万人を超えたのはTXが開通した年であり、これが都市づくりの理想と現実かもしれない」

 ――これからの筑波研究学園都市に期待することは。

 「TXの利便を享受しながら都市としての求心力を高め、今後も自立都市としての特性を失わないでいってほしい。筑波研究学園都市の本質的な理念は『田園都市』にある。これからも田園都市として自然に恵まれた良好な都市づくりを進めていくことが大切だ。それと、筑波研究学園都市が世界的な科学技術都市として発展するには、羽田空港の国際化も随分進んでいることもあり、いずれはTXが羽田空港まで延伸されてほしいと考えている」
 「大学や研究所が何の研究をしているのかについて、一般の人にもう少し分かりやすく説明していくことも必要だろう。こうした機関から世界的に注目される研究成果が数多く発表され、多くのノーベル賞受賞者が出る都市にもなってほしいと期待している」。




 (みつい・やすひさ)1939年東京都生まれ。63年東大法学部卒、建設省入省。茨城県企画部長、住宅局長、国土庁事務次官兼総理府阪神・淡路復興対策本部事務局長などを歴任。09年4月から現職。主な著書に『防災行政と都市づくり』、『大地震から都市をまもる』、『まちを歩く 建物を楽しむまち散歩』(編著、非売品)など。

【かわいいキャラは愛される】スヌーピーミュージアム、来春六本木に誕生

ミュージアムの完成イメージ(@2015 Peanuts)
 ソニー・クリエイティブプロダクツ(東京都千代田区、古川愛一郎社長)は16年3月、東京・六本木に「スヌーピーミュージアム」をオープンする。スヌーピーの生みの親、チャールズ・M・シュルツ氏の作品を所蔵する米・サンタローザ(カリフォルニア州)の「チャールズ・M・シュルツ美術館」にとって世界初の分館という位置付けで、スヌーピーたちが活躍するコミックの原画、シュルツ氏の初期作品、貴重なヴィンテージグッズなどを展示する。
 ミュージアムは18年9月までの限定開館で、住所は東京都港区六本木5の6。敷地内にはモニュメントや来館者が楽しめる仕掛けも満載だといい、季節に合わせたイベント開催も予定している。ミュージアムショップの限定品、オリジナルグッズも販売するなど、ファンにとってはぜひ一度は訪れたい場所になりそうだ。
 入場券の販売方法や展示内容の詳細は12月に発表する予定。情報は専用サイトでも発信していく予定だ。

2015年7月29日水曜日

【回転窓】なくなる仕事と生まれる仕事


 テクノロジーの進歩で「職業」はどう変化していくか。4月に出版された『あと20年でなくなる50の仕事』(水野操著、青春出版社刊)の著者は、今後なくなってしまうかもしれない仕事や、逆に新しく生まれてくるかもしれない仕事を展望している▼コンピューターが徐々に仕事を奪っていくであろう職業に挙げられているのは、単に売るだけの営業マンや長距離ドライバー、電気や水道、ガスのメーターをチェックする周回業務など。タクシーも無人運転になるかもしれないと予測する▼確かにスマートメーターの導入が進むと、人手を掛けた検針業務などは要らなくなる。だが、電気やガスの検針員が顔を見せるのを楽しみにしているお年寄りも少なくないと聞く▼そうしたライフライン事業者と協定を結び、高齢者など住人の変化を早期に把握する施策を講じている自治体もあるという。テクノロジーの進歩には期待するが、地域密着の仕事まで無くなってしまうことには疑問符が付く▼冒頭の本は、建築士や記者・編集者などを、時代に合わせて変化しながら生き残る職業に挙げる。ご興味があれば一読を。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)=5年制建築教育制度が危機(7月15日付)

 建築設計人材の海外進出を促す目的で導入された5年制建築学科と教育認証制が危うくなっている。国土交通部と韓国建築学教育認証院によると、5年制に転換した全国73の大学のうち25校が建築学教育認証を受けていないことが分かった。
 教育認証を受けた大学の建築学科を卒業すれば、原則として米国やカナダ、オーストラリア、中国、英国など7カ国で現地卒業生と同等の待遇を受けることができる。
 しかし、全国120余りの建築関連大学の中で5年制25校が認証プログラムに参加しておらず、50を超える大学は4年制を守っており、認証対象から外れている。ある地方大学の関係者は、「認証費用が高くて基準も難しいのに比べて、その効果はまだ不確かだ」と語っている。
 国土交通部は、当初19年で終了するとしていた4年制予備試験受験資格をさらに延長する検討を始めた。4年制一般大学と大学院を連携させた学・修士連携課程など多様な学位課程を検討している。(韓国・建設経済新聞より)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)=南北高速道路の斜張橋起工、施工は三井住友建設JV(7月24日付)

フオックカイン橋の完成イメージ
ホーチミン市郊外のカンザー郡で18日、ベンルック~ロンタイン間高速道路のフオックカイン橋とアプローチ橋を建設する「パッケージJ3」の起工式が行われた。日本の政府開発援助で建設され、三井住友建設とCienco4のJVが施工を担当する。式典には日本の領事館関係者やベトナム交通運輸省の幹部らが参加した。

起工式には日本の領事館関係者や越交通運輸省の幹部らが出席した
 ベトナム高速道路公社が推進する南北高速道路の一部となるフオックカイン橋は長さ600メートルの斜張橋。ベンルック・ロンタイン線が完成すれば、ホーチミン市の西部から南東部へ都心部を通らずにアクセスできるようになる。カイメップ・チーバイ港や将来建設されるロンタイン国際空港へもつながる。
 さらに、ビエンホア・ブンタウ高速道路と接続し、ホーチミンからカンボジア・プノンペンを経由してタイ・バンコクへ続くメコン圏南部経済回廊の一部となる。(越セイ・ズン紙より)

【だいぶ出来上がってきました】吹田市立スタジアム建設(大阪府)で現場見学会

屋根工事を終え、フィールドに芝を張る作業などに入る
 日本建設業連合会(日建連)関西支部建築委員会(中嶋啓吾委員長)は、大阪府吹田市の「(仮称)吹田市立スタジアム建設工事」で現場見学会を開いた。参加者は、設計・施工を担当している竹中工務店の職員から工事概要や施工方法などについて説明を受けた後、柱・梁などのPC化を積極的に導入している国際規格のサッカー場の施工状況を興味深く見ていた。

 ◇PC部材活用で省力化を推進◇

 作業所事務所で行われた説明会の冒頭、中嶋委員長が「建設市場が拡大する中で、若年労働者の確保を進めると共に、施工の生産性効率化が急務となっている。このスタジアムの設計・施工を受注した当初は、躯体を現場打ちで計画し、躯体職を数百人確保しなければならなかった。ところが建設市場の拡大で、作業員の確保が厳しくなり、PC化の推進で工期内に完成させることにした。作業員総数は従来計画比で約6割に抑えることができそうだ。現場では生産性向上の内容を確認いただき、各社の取り組みの参考にしてほしい」とあいさつ。竹中工務店の松尾亨作業所長が「この作業所の中野達男総括所長は、当社の集合住宅のリーダーとして多くの物件に携わってきた。その中でPC化などに取り組み、これまでの経験の集大成としてこのプロジェクトに取り組んでいる。工場生産の躯体PC化だけでなく、作業所内でPC部材を製造するサイトPCも導入した。この工事も9月末に完成させ、引き渡す。本日は現場管理の手法や免震装置で支える屋根構造などについても説明し、現場視察で確認していただく。建設業の今後のあるべき姿を議論したい」と語った。

 ◇進捗率は9割、工事は佳境に◇

 続いて同社作業所の菅原敏晃副部長がプロジェクトの概要や、PC躯体と現場打ちコンクリートの躯体の施工方法、3Dトラス構造と免震構造を適用した屋根計画、超高性能コンクリートを用いたスリム柱、小型無線操縦ヘリコプターを活用した作業所管理などを映像を使用して解説した。
 参加者からは、サイトPCの施工体制などについて質問があった。その後一行は、作業所事務所からスタジアムのグラウンドに入り、スタンドやVIPフロアなども見学した。
 同スタジアムは、プロサッカーJ1ガンバ大阪の新サッカー専用スタジアム建設費を企業やサポーターから寄付金を募っていた「スタジアム建設募金団体」が吹田市千里万博公園に計画。構造はRC・PC・S造で、延べ床面積は6万6355平方メートル。4万人を収容する。
 コンストラクション・マネジメント(CM)業務を安井建築設計事務所が担当。工期は13年12月~15年9月。7月末に屋根工事を終え、7から8月にフィールドの芝生関連工事も進めていく。進ちょく率は約9割。

【中部整備局の旬な現場・8】東海環状三輪トンネル工事(岐阜市山県北野~三輪)

三輪トンネルの掘削現場
 地域の期待も非常に大きい国道475号東海環状自動車道(西回り)事業のうち、19年度の開通を目指している関広見~高富インターチェンジ(IC)間のトンネル工事を見学することができる。
 トンネルの施工方法は、ドリルジャンボという腕のようなドリルを5本備えたトンネルならではの特殊な機械を用い、掘削面に孔を開け、火薬を装填し岩石を砕きます。砕いた岩石を搬出する際にもホイールローダという特殊な積み込み用車両を用いて、トンネル内の限られた空間で効率的に砕いた岩石を搬出用トラックに積み込みます。再びドリルジャンボを使用し、支保とロックボルトを設置してコンクリートを吹き付けます。その後、セントルと呼ばれるアーチ型の移動式型枠支保を用いて、覆工コンクリートを造ります。
 街中ではなかなか見られないトンネル工事。施工は大成建設が担当し、16年9月ごろまでが見学の旬だという。岐阜国道事務所品質確保課(電話058・271・9816)まで。

2015年7月28日火曜日

【待ってますよ】日建連が都内で女子小中学生向け現場見学会開く

見学会の最後にみんなで記念撮影。
子どもたちだけでなくけんせつ小町のみなさんも良い思い出なったはず
日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は24日、女子小中学生などを対象に、女性の技術者・技能者(けんせつ小町)が活躍する現場の見学会「Girls+site」の初弾を東京都内で開いた。夏休み期間を中心に全国15カ所程度で開催する特別企画。工事現場で働く多くの女性の姿を通して建設業の仕事内容や魅力を伝え、将来入職を目指すきっかけにしてもらう。国土交通省が後援し、積極的に後押ししている。
 1回目の今回は、三井住友建設が東京都江東区で施工中の「(仮称)芝浦工業大学付属豊洲中学高等学校建設工事」の現場で開いた。29人の小中学生と保護者が参加。なでしこ工事チーム「チームTOYOJYO」のメンバーと一緒に現場を見学し、どのように建物が造られていくのかを学んだ。建築体験コーナーでは、型枠大工や鉄筋組み立て、躯体整形、測量・墨出し、資材揚重などの工種を体験。普段はなかなかできない貴重な経験となった。

鉄筋をグリグリ。職人さんも応援してます
子どもたちからは「暑い中で仕事をしている姿がかっこよかった」などの感想が出た。さらに「どんなきっかけで建設の仕事に就いたのか」「楽しいこと、大変なこと」などの質問に対して、なでしこメンバーが一つ一つ丁寧に回答。チームリーダーの星野麻夢さん(工事係)は「きょうの楽しさや面白さを胸に10年後、20年後、建設業のさまざまな場面で活躍してほしい」と期待を込めた。
 同社代表取締役会長で、日建連けんせつ小町委員会の則久芳行委員長は「みんなが楽しく見学、体験している姿を見て、私もうれしかった。夏休みの絵日記に書いてほしい。また来てください」と目を細めた。

【子どもたちの笑顔があふれた】東北整備局南三陸国道が吉浜道路開通プレイベント開く

高速道路を自転車で駆け回る。落書きだって今日はOK!!

◇即席「遊園地」で大はしゃぎ!?◇

 岩手県大船渡市で建設が進む三陸沿岸道路・吉浜道路で25日、供用前の高架橋やトンネルを「遊園地」に見立てた開通プレイベントが開かれ、地元の子どもたちが建設現場を楽しんだ。主催は東北地方整備局南三陸国道事務所。大船渡市と、建設会社で組織する吉浜道路工事連絡協議会が共催した。
 「(本年度末の)開通までには少し間があるが、地元の人々のために一度、道路上を開放したいと思うがどうだろうか」。佐藤和徳南三陸国道事務所長の発案をきっかけに、「吉浜道路見学会」に併せ、工事現場を一日だけの遊園地にしてしまおうという方針が決まった。事務所と協議会でラフプランをまとめ、春先から準備に取りかかった。
 当日開放されたのは延長2・9キロ区間。この区間には、既に完成した吉浜高架橋、舗装工事が終盤の吉浜トンネル、5月に連結した越喜来(おきらい)高架橋がある。構造物の施工は清水建設・青木あすなろ建設JV、川田建設・安部日興工業・日本高圧コンクリートJVが担当。舗装の仕上げを大成ロテックが進めている。

お化け屋敷で肝試し
 イベントでは、高架橋から大型紙飛行機を飛ばしたり、トンネル内でプラネタリウムやアニメ映画を鑑賞したり、お化け屋敷を楽しんだりした。
 協議会の担当者として関係者間を奔走した大成ロテックの別府誠司課長は「催しが遊園地ですから、吉浜と越喜来の子どもたちにも意見を聞いたところ、自転車のリクエストが一番大きかった。この一帯の急しゅんな土地柄や大型車両の往来で、子どもたちは日常、自転車の使用を禁じられていたことが分かった」という。マウンテンバイクからおもしろ自転車までさまざまな車両をレンタルし提供、大好評を得た。
 「地元の人々は日ごろから工事に理解を寄せてくれますから、小さなことでも実現させてあげたい」(別府課長)。予想以上の子どもたちの反応がイベントの成功を物語っていた。
 一日限りの「吉浜遊園地」開園のために23日までに仮舗装を仕上げ、最後の準備が完了したのは当日の未明だったという。関係者の計らいで、開通前の吉浜道路は終日、子どもたちの歓声に包まれていた。

【世界初かぁ】鹿島が超高層ビル用制震ダンパー開発

開発した新型制震装置「HiDAX-R」
◇振動エネを揺れ制御に利用◇

 鹿島は、超高層ビル向けに新しい制震オイルダンパーを開発した。自動車のブレーキ制御などで用いられるエネルギー回生システムの原理を世界で初めて建物に応用。地震による建物の振動エネルギーを一時的に補助タンクに蓄え、そのエネルギーをダンパーの抵抗力を高めるアシスト力として利用する。揺れを止める性能を示すエネルギー吸収能力は一般的なオイルダンパーの約4倍に達するという。
 新型ダンパー「HiDAX―R」は、ビル低層階のコア周りに設置する。風揺れから震度7の大地震による揺れまでカバー。発生頻度の高い震度4~5クラスの地震や長周期地震動で特に効果を発揮する。一般的な制震構造に比べ、揺れ幅が半減し、揺れが収まるまでの時間も大幅に短縮できる。東京都千代田区で施工中の「(仮称)新日比谷プロジェクト」(発注者=三井不動産)など東京都内の超高層ビル3件に導入を予定。少ない台数で効果を発揮するため、新築に加え、ダンパーが設置できる場所が制限される既存ビルにも積極的に採用を提案していく。

【回転窓】役所の粘り腰

 役所が定めた規制には実にさまざまなものがある。それらの多くは、一度決めると、廃止はおろか変更も難しいのが常。そのうちに現実と規制とがどんどん乖離(かいり)していく▼先日読んだ小さなニュースで、そんなことをあらためて考えさせられた。厚生労働省は「美容師は男性にカットのみのサービスを行ってはならない」とした通知を廃止したという。通知は旧厚生省時代の1978年に局長名で出し、併せて理容師が女性にパーマを行うことも禁じていた▼通知から37年。厚労省は今回、美容師にカットだけを頼む男性客は多いとして、「通知は現実と乖離している」と性別による規制をなくす判断をしたそうだ▼何を今更といったたぐいの話だが、これほどの長きにわたって通知を墨守した役所の粘り腰に驚かされる。それでもなお「ひげそりは理容師だけに認める」との規制だけは残すそうだから、なかなかしぶとい▼役所の無意味な規制が新しいビジネスや自由な営業を阻んでいるとしたら罪は深い。建設分野ではどうだろう。はしの上げ下ろしまで指図するような古色蒼然(そうぜん)とした規制はないと信じたいが…。

【結】熊谷組事業創生推進室・サンダー・アウンさん


◇人の役に立つ土木技術者になりたい◇

 14年10月にミャンマーの最大都市ヤンゴンに営業事務所を開設し、営業活動を再開させた熊谷組。現地で初となる採用活動にエントリーし、応募500人の中からトップの成績で入社が決まった。
 離れた場所と場所を結び、遠回りを強いられていた人の役に立つ橋梁に興味を抱き、シビルエンジニアの道を選んだ。大学で土木工学、大学院では地質工学を専攻した。
 「日本は地震が起きた後も、建物や構造物が壊れずに残っている」。日本の高い技術力を身に付けたいと考え、就職活動で日本の建設会社を志望したという。
 4月に配属された事業創生推進室は、未開拓市場への戦略的なアプローチを通じて潜在案件の掘り起こしを行う部署。現在は太陽光発電や風力発電施設の設計を担当し、CADを使って図面を作成している。「未経験の分野で、毎日が発見」と目を輝かせる。
 最初の3カ月は、午前中に日本語学校で勉強してから勤務に就く忙しい毎日を過ごした。7月に入ってからは、現場に出向き、出張もするようになった。社内外のコミュニケーションは日本語が中心。「特に漢字が難しい。早く日本語で話せるようになりたい」。
 休日は勉強も兼ねて同僚と一緒に東京都内を観光している。「東京タワーが良かった。東京スカイツリーにも行ってみたい」。今夏は1週間程度帰省する予定。日本で働くことに賛成してくれた両親と会うのを楽しみにしている。(メディアインフラグループ、ミャンマー出身)

【中堅世代】それぞれの建設業・103

顔はスマイルでも相手の様子をしっかりと観察
◇きっと誰かが見てくれている◇

 商談などで企業を訪ねた人が最初に接する「受付」。多くは女性がその職務を担い、笑顔で来客を迎える。その会社の第一印象を左右する重要なポジションであり、気配りと高いビジネスマナーが求められる。
 ゼネコンの総務部に勤める井本千浩さん(仮名)もかつて受付の仕事をしていた。30歳になったのを機に生まれ育った関西を離れ、東京へ。人材派遣会社に登録し、紹介されたのが今勤めているゼネコンの受付の仕事だった。
 好奇心旺盛で人との交流にも自信があった。不慣れな標準語に悪戦苦闘しながらも持ち前の負けん気を発揮。徐々に自分のペースをつかんだ。「お客さまの名前とどの部署にどんな用事で来ているのかを覚えることに集中する毎日でした」と振り返る。
 受付の仕事は「お客さまより先に誰々をお訪ねですね」と言えるようになって一人前。来客が持つ封筒や襟元の社章などからその人の情報を得ようと努めた。知らない会社はすぐにインターネットで調べて復習する習慣を徹底。「金融系」や「商事系」など雰囲気で人をカテゴライズする技も身に付けた。
 転機が訪れたのは3年目。ある朝、出社してきた社長に声を掛けられた。「お客さまがあなたのことを褒めてくれた。毎日本当によくやってくれている。社員として一緒に働かないか」。ずっと東京で暮らす覚悟ができずに少し迷ったが、上京後に孤独だった自分に居場所を与えてくれ、温かく見守ってくれた会社に恩返ししようと決心した。
 社員になると姿勢が変わった。「分からない」では済まされないというプロ意識が目覚め、来客応対だけしていればいいという考えも捨てた。知識の幅を広げようと、自社が売り込んでいる工法をはじめ、ホームページに掲載されている情報は最低限、自分で説明できるように猛勉強した。
 受付から待っている人の様子が確認できるよう、受付と待合室の間のパーテーションを取り除くなどエントランスのレイアウトの変更を提案すると、すぐに採用された。
 長く受付を経験したからこそのアイデアだった。そのころにはもう、社内外に名前が知れる名物受付になっていた。
 正社員になって3年。6年にわたる受付の仕事を卒業し、代表電話の応対や役所へ提出する書類の作成・届け出、備品発注など総務・庶務の仕事を任されるようになった。中でもマスコミ対応や社内報の作成など広報の仕事にやりがいを感じている。心が躍るのは、新聞社から依頼された現場取材の同行。「記事になる過程を間近で見られる。取材を受けた人に掲載紙を見せて喜んでもらえるのもうれしい」。
 派遣から正社員に。イレギュラーな入り方に負い目を感じ、周囲に不必要に気を使い、他人の目が気になる日々もあったが、受付から一歩踏み込んだ仕事をするようになって迷いは消えた。「頑張っていれば、きっと誰かが見てくれている」。
 「自分の会社を知るためにも、受付の仕事を一度は経験するといい」。新入社員研修に受付の仕事を取り入れてはと提案しようと思っている。

【サークル】住友大阪セメント 野球部

◇入部条件は「野球大好き」、社内報見て新人スカウト◇

 1970年代に開かれた会社の野球大会をきっかけに活動がスタートし、40年以上の歴史を持つ。現在の部員数は約20人。総務、人事、営業などさまざまな部署からメンバーが集まっている。春と秋に開催される地域のトーナメント公式戦に向けて、月に1~2回の練習や練習試合をこなす。年末の納会では成績発表と表彰が行われ、チーム内で年間MVPを選出している。
 入部の条件は「とにかく野球が大好き」であること。社内報の新人紹介で「野球」というキーワードを見つければ、部員がすかさずチェックしてスカウトに出向き、声を掛けるという。
 部員の年齢層は20代から50代までと幅広いが、抜群のチームワークと明るさで、皆で声を掛け合いながら白球を追い掛けている。監督の飯島智彦さん(新規技術研究所企画グループ)は「永遠の野球小僧の集まり」と評する。
 今後は、お盆明けに開催される秋の大会へ向けて練習に力を入れる。今年は新人が4人増え、レギュラー争いがますます激しくなってくるという。飯島さんは「そこそこ厳しい練習と、練習試合を積み重ねながら、チーム一丸となって優勝を目指していく」と意気込みを語る。

【駆け出しのころ】鹿島執行役員環境本部長・新川隆夫氏


 ◇個人の能力は掛け算で現れる◇ 

 現場に出て働こうと考えていましたから、入社して配属先が技術研究所と分かった時にはかなり驚きました。技研では周りの人たちの能力が高く、気後れしていました。ですが、技研では大学院に進学したのと同じくらい充実した勉強をさせてもらったと思っています。こうじゃないかという仮説を論理立てて検証することだけでなく、しっかりとした言葉や文章で説明することの大切さも学びました。
 そろそろ現場に出た方がいいかと会社に自己申告していたところ、入社5年目に現場勤務となりました。最初の現場は東京都内の下水処理場です。とにかく現場での仕事を早く覚えなければいけないと焦っていました。
 そうして少したったころ、自分の気持ちに変化がありました。いくら不得意だからと言い訳したとしても、責任が伴うことに変わりはありません。それなら逃げないで自ら前に出ていった方がいいと考えるようになったのです。
 30代前半に東京都内の道路トンネル工事を担当したころのことです。ここの所長は毎朝、事務所に来ると新聞ばかり読んでいるのですが、肝心な時にひと言だけぼそっとアドバイスをくれるのです。新聞を読んでいても、事務所の職員たちがどういう話をしているのかをずっと聞きながら、常に先を読んでいろいろと考えておられたのだと思います。その後も現場で何か困った時は、この方のやり方に戻ればいいという思いがありました。
 私は、個人の能力というのは掛け算だと考えています。標準を1とすると、能力のある人は2、3と高い。でも、標準を少し超えた1・2くらいでも、次の仕事で、さらにその次の仕事でも同じ1・2の力を出して積み重ねていけば、それらの掛け算で気がついたら2を超えられているかもしれない。入社して35年がたち、こういうことではないかと思っています。
 会社生活の中には、自分は一体何をやっているのかと考えてしまうグレーの時期があります。チャンスの回数は皆に平等ではありませんが、少なくても必ず巡って来ます。重要なのは、その時にどんなパフォーマンスができるか。それにはきっと、グレーの時期にも落ち込まずにやるべきことをやっていた経験が生きるのではないでしょうか。そうすれば掛け算の数値になって現れるはずです。
 センターではなく、後列の端にいたとしても、その方が全体をよく見渡せるとも言えます。実はこれが大きなチャンスかもしれない。後ろにいても、意識すれば見られるのです。チャンスは皆にあります。
 (しんかわ・たかお)1979年立命館大理工学部土木工学科卒、鹿島入社。赤坂見附駅工事事務所長、東京土木支店土木工事管理部長、土木管理本部土木工務部工事管理部長などを経て、14年4月から現職。大阪府出身、60歳。

都内のトンネル工事現場に組み立てたガントリークレーンの上で。30代前半だった


2015年7月26日日曜日

【池袋が生まれ変わる】都市再生緊急整備地域指定で開発規模拡大へ機運高まる

池袋駅周辺のまちづくり動向
政府から「特定都市再生緊急整備地域」に21日付で指定された池袋駅周辺地域(東京都豊島区)。指定により、民間による大規模都市開発にさまざまな規制緩和が適用されることになる。対象区域(約143ヘクタール)内で計画されている複数の大規模開発事業では、既に指定を前提に開発事業のバージョンアップや、スピードアップへ向けた検討が進んでいる。地元の開発機運が増すことで、新たな計画が浮上する可能性もある。
 「これまで立ち消えになったり、遅々として進まなかったりした開発計画が多々あったが、これからはそれぞれの開発事業が確実にスピードアップし、現実化していくだろう」。同地域の指定を以前から訴えてきた豊島区の高野之夫区長は「(池袋の発展は)新宿、渋谷に立ち遅れていたが、これで着実に街の核ができてくる」と期待を示す。
 区がまず想定しているのは、再開発事業が計画されている池袋駅西口地区(約4・5ヘクタール)への都市再生特別地区の適用だ。同特区の適用によって、地区内の容積率の割り増しを目指す。今秋にも地権者らで再開発準備組合を設立し、駅ビルの東武百貨店池袋本店を含む大規模再開発の事業化を加速させる。現在、街づくり協力者として三菱地所が参画し、詳細な再開発プランの検討を進めている。
 旧区庁舎と豊島公会堂・分庁舎の敷地(計6687平方メートル)で計画されている新しい区民ホールを含めた複合開発事業では、税制特例の適用を想定している。区は、同敷地に定期借地権を設定し、東京建物を代表企業とするグループ(構成員=サンケイビル、鹿島)に貸し出すことを決めている。契約締結後、16年4月に既存建物の解体に入り、同11月に総延べ約7・4万平方メートルのビル2棟の本体工事に着手する予定だ。
 新区庁舎の隣接地で検討されている南池袋二丁目C地区(約1万6700平方メートル)の再開発事業では、事業期間の短縮が期待されている。都の環境影響評価手続きは通常、延べ床面積10万平方メートル以上の建物が対象となるが、同地域に指定されると15万平方メートル以上に対象が緩和されるからだ。

再開発によって池袋は大きく生まれ変わろうとしている
これまで都内で同地域に指定された4カ所(都市再生緊急整備地域は7カ所)と異なるのは、不燃化特区に指定されている木造住宅密集地域(木密地域)の東池袋四・五丁目地区(約20ヘクタール)が含まれていること。高野区長も「木密地域が入ったことは画期的だ」と指摘する。
 東池袋四・五丁目では、地区内を縦断する都市計画道路補助81号線の整備工事に伴い、沿道で共同建て替えなどの機運が徐々に高まっている。16年度に移転する造幣局東京支局の跡地を活用し、玉突き式に共同建て替えを進めるという新しい木密地域解消法のモデル実証事業も、国土交通省が主導して進むとみられる。
 ただ、同地域の規制緩和を受けるには、いずれも広大な区域(都市再生特区は5000平方メートル以上)で大規模開発を計画することが必要。木密地域は小規模な建物が点在し、地権者も多いことから、ハードルが高いのが実情だ。
 こうした中、造幣局の南側の1~2ヘクタールの区域の地権者らは先月、「造幣局南地区まちづくり協議会」を設立。同地域の指定による規制緩和も考慮に入れ、街づくりのあり方を検討していく考えを示している。
 区も、こうした地元地権者や民間事業者の動きを後押しする。今月末には有識者や関係者など40人程度で構成する「池袋駅周辺地域再生委員会」(委員長・岸井隆幸日大教授)を立ち上げ、16年度早期の策定を目指して街づくりガイドラインの検討を始める。街づくり団体や民間事業者と連携し、池袋駅を中心とした都市基盤整備の検討も進めるという。

2015年7月25日土曜日

【現場探訪】JR安達駅駅舎・東西自由通路新設工事(福島県二本松市)/施工は鉄建

83トンの自由通路を吊り上げ旋回
◇S造橋を短時間・高精度に一括架設◇

 長さ32メートル・重さ83トンの跨(こ)線橋をわずか11分で一括架設―。福島県二本松市のJR東北線安達駅の新設工事現場で19日明け方、地上で組まれたS造の東西自由通路が、超大型クレーンで架設された。線路をまたぐ工事のため、作業時間は線路閉鎖、き電停止をしている33分間。厳しい制約時間に加え、ミリ単位の高い施工精度も求められた。リハーサルを繰り返し、課題を一つ一つ解決して迎えた本番当日。不安定な天候の中でも練習の成果が結実し、短時間での一括架設を成し遂げた。
 現場は二本松市油井下中ノ内65。JR安達駅の駅舎(線路を挟み東側と西側で構成)と東西自由通路を新設する。規模はS造2階建て延べ1318平方メートル。工期は2月10日~16年2月19日。新駅は12月に開業する予定で、その後は旧駅舎の解体などが行われる。工事の発注・監督はJR東日本東北工事事務所、施工は鉄建東北支店が担当している。
 工事の山場となったのが自由通路(跨線橋)の一括架設だ。東側のヤードでS造の自由通路(高さ4・6メートル、幅6メートル、長さ32メートル、重さ83トン)を組み立てた上で、1200トンづりの超大型クレーンでつり上げ、東側駅舎の上空まで旋回して一時待機。線路閉鎖、き電停止を完了した後、再びクレーンを旋回させ、東西2階の据え付け位置に架設する。

一括架設作業の様子
「時間との勝負だ」。安達駅作業所の澤野正所長(鉄建)がこう指摘するように作業に使える時間は極めて短い。上下線ともに終電と始発の間で線路を閉鎖し、き電を停止してからの作業。その時間は午前4時45分~5時28分の43分間。実際の作業時間は4時50分~5時23分の33分間で、うち一括架設は4時50分~5時18分の28分間を予定していた。
 19日明け方は小雨が舞う不安定な天候。ただ風がほぼなく、クレーンでの作業に支障はない。4時1分にクレーンが機動して重さ83トンの自由通路をつり上げ、4時11分には一時待機の状態に持ち込んだ。
電車の遅延もなく予定通りの時間に線路を閉鎖。き電の停止が早く完了し、4時47分には旋回を再開した。クレーンにつられている自由通路を東西それぞれの据え付け位置にミリ単位で誘導。自由通路が据え付け位置にぴたりとはまり、4時58分に一括架設を終えた。

所要時間11分で所定の位置にぴたりと収まった自由通路
作業時間はわずか11分。リハーサルによる課題の抽出と解決策の立案、作業員(約40人)の明確な役割分担など事前の準備を徹底した結果、予定時間の28分を大幅に短縮した。
 無事に一括架設を終えた澤野所長は「速いペースで高精度の施工ができた。練習の成果だ。安心した」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。同時に「地元の人の期待が高い。無事故で良いものを造り、皆さんに喜んでもらいたい」と表情を引き締めた。

2015年7月24日金曜日

【エヴァ初号機、行きます!!】JR西日本が「新幹線:エヴァプロジェクト」始動!!!


 JR西日本は、全線開業から40周年を迎える山陽新幹線の記念プロジェクトを始動させる。人気アニメでテレビ放送開始から20周年と、こちらも節目を迎えた「エヴァンゲリオン」とコラボ。この秋から17年3月までの期間限定で、エヴァ初号機(知らない人、すいません)をイメージした特別車両が新大阪-博多間を疾走する。その名も「500 TYPE EVA」。エヴァンゲリオンの監督である庵野秀明氏が監修、メカニックデザイナーである山下いくと氏のデザインという、まさに本物志向。車両の外観だけでなく、乗車中もエヴァの世界観をテーマにしたコンテンツが楽しめるという。

「500 TYPE EVA」のデザインイメージ
運転時間は博多午前6時30分発→新大阪午前11時14分着のこだま730号と、新大阪午前11時32分発→博多午後4時07分着のこだま741号の1日1往復。記念旅行商品や記念グッズの販売を予定しているほか、スペシャルサイトでさまざまな情報を発信するという。
 山陽新幹線限定というのがちょっと残念だが、どんな車両になるのか今から楽しみ。新幹線の乗務員の方がエヴァのプラグスーツを着用したらさらにいいのになー・・・。





【回転窓】廃校をどう利用するか

 少子化や過疎化を背景に、過去10年で2000校以上の公立学校が廃校になっているという。残った校舎をどう扱うかは、地方自治体にとって悩みの種だ▼文部科学省は、廃校を積極的に利用した事例として「50選」をホームページで紹介している。デイサービス施設など高齢者向けの事例が多いのは、超高齢社会に入った日本の現状の反映だろう。その他事例も、地域コミュニティー拠点など、今いる住民を主な対象にした事例が目立つ▼一方で、廃校に新たな価値を見いだし、積極的に活用する事例も。東京・荒川区は旧道灌山中学校を「スタートアップオフィス」としてベンチャー企業に貸し出している。新潟県聖籠町は旧亀代中学校を日本初のサッカーカレッジとして選手やトレーナーの育成拠点にし、町の活性化につなげようと取り組む▼群馬県沼田市で、廃校を建設職人の育成拠点にしようという取り組みが進んでいる。地域性の強い建設業の人材育成が、地域の拠点施設だった廃校で行われるのは興味深い▼沼田モデルが全国に広がれば、建設業の担い手確保・育成の大きな原動力になる。期待したい。

【ぶん♪ぶん♫ぶん♬】鹿島がみつばちとコラボ!?/よい子のみんなー、HPに新コンテンツを作ったよー


 鹿島は、生物多様性の取り組みを紹介するホームページ「いきものにぎわうまち」に、ゲーム形式の新コーナーを設けた。ミツバチが花の蜜や花粉を集める蜜源植物を公園内で探すゲームで、「シロツメクサ」「ケヤキ」など10種類の植物から五つを選択する。正解数に応じてミツバチくんから異なるメッセージが贈られる。親子で楽しみながら生態系について学べる内容となっている。
 新コーナーは「葉っぱでさがすミツバチのいるところ」。街中で見られる樹木の名前や特徴を葉の色や形をヒントに調べる「葉っぱの見わけ方図鑑」と、ミツバチが花の蜜を集める蜜源植物を当てる「蜜源さがしゲーム」で構成される。
 ミツバチは花から花へ飛び回り、蜂蜜のもとになる花蜜や花粉を集める。ミツバチが花のめしべに花粉を付ける受粉によって植物の多様性が維持されている。このコーナーは、生物多様性の保全で重要な役割を担うミツバチが好む植物に詳しくなれる要素が満載

【ぜひ使ってみたい】三菱地所ら3社、輻射空調技術応用の個別冷暖房付きデスク開発


 三菱地所と三菱地所設計、高砂熱学工業の3社は、オフィスに置くデスクの内部に輻射(ふくしゃ)パネルを埋め込んだ「個別冷暖房付オフィスデスク」を共同開発した。パネルに冷水・温水を循環させることで、デスクを冷却・加熱したり、デスクに内蔵したファンから冷風・温風を吹き出したりできる。デスク単位で冷暖房調節ができるため、省エネ性と快適性を兼ね備えたオフィス環境を実現できるという。
 開発に当たっては、温度の高いところから低いところに移動するという熱の性質を利用した空調システム「輻射空調」を応用した。輻射空調に詳しい田辺新一早大創造理工学部建築学科教授も共同開発に参加した。
 夏季は、デスクトップに内蔵した輻射パネルに冷水を循環させ、利用者の手元とひざ上を冷却。パーティションにも冷水を送ることで、パーティションに取り込んだ空気を冷却してファンで送風する。
 同デスクは、三菱地所が建設を進めている「大手門タワー・JXビル」(東京都千代田区)の一部フロアに初めて導入される予定。同ビルは11月16日の竣工を目指している。

【もっともっと応援しよう!!】日建連が女性活躍推進へパンフ刷新


 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、建設業で働く女性の活躍を後押しする施策や取り組みを紹介するパンフレットを刷新した。女性が働きやすい現場環境を整えるためのマニュアルの紹介を加えたほか、登場する技術者、技能者に交代してもらい、現場監督、所長、防水工など作業着姿の女性が仕事のやりがいなどを語ってもらっている。女性の建設マスターで初の叙勲受章者となった造園工の関塚光子さんを紹介するコーナーも設けた。
 パンフレットは「もっと女性が活躍できる建設業を目指して」。日建連は、女子小中学生と保護者を対象にした「けんせつ小町活躍現場見学会」を24日から全国各地の会員の現場で開く。現地では、パンフレットとともに、ピンバッジやシールを配布し、「けんせつ小町」の愛称で呼んでいる女性の技術者・技能者の活躍を見てもらう。
 中村会長は「子どもたちに現場の女性の仕事を理解してもらうのも大事だが、見学会はけんせつ小町にとっても効果は大きい」と働く女性の励みになるとみている。

【大切に守っていかないと】機械学会が機械遺産に7件選定

機械遺産に選定された「末広橋梁」(三重県四日市市)
 日本機械学会(小豆畑茂会長)は、歴史的に意義のある機械を認定する15年度の「機械遺産」に、三重県四日市市にある鉄道跳開橋「末広橋梁」など7件を選定した。末広橋梁は、橋梁技術者の山本卯太郎氏が設計・製作した跳開式鉄道可動橋で1931年12月に完成した。普段は跳ね上げ状態にしておき、貨物列車が通過する時のみ可動桁を下ろす仕組み。現在も、JR貨物四日市港線の橋梁として現役で稼働している。
 機械遺産の選定は本年度で9回目。今回で計76件となった。認定式は8月7日に名古屋市西区のトヨタ産業技術記念館で行われる。
 末広橋梁は、四日市港の修築工事に伴い、四日市市の末広町と千歳町の間の千歳運河に架けられた。全長は58メートルで幅は4メートル。跳開部の桁長は18メートルで、質量は48トン。今もセメントの運搬の際に使われているほか、中部国際空港建設時には埋め立て用の土砂運搬で重要な役割を果たした。98年には重要文化財に指定され、日本の近代化を支えた遺産として保全されている。

2015年7月23日木曜日

【情報をリアルタイム発信】大雨災害復旧で「ぐんけん見張るくん」が大活躍/作業状況をSNSで発信

大雨に見舞われた群馬県みなかみ町での道路復旧の様子
7月20日、1時間に約100ミリという記録的な大雨に見舞われた群馬県みなかみ町。道路復旧などに当たった群馬県建設業協会(青柳剛会長)の会員会社が、協会が運営する災害情報共有システム「ぐんケン見張るくん」を通じて対応状況をリアルタイムで発信した。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のツイッターに道路をふさいだ土砂の撤去や土のうの設置などの作業状況を順次投稿。休日返上で地域の安全・安心に貢献する様子が伝えられた。
 みなかみ町の清滝建設(清瀧明則社長)は、同日午後3時ごろに雨が降り始めたのを受け、「休暇中の職員15人を集め、国道、県道、町道の被害状況などを確認しながら、土砂でふさがれた箇所の復旧に当たった」(清瀧社長)という。
 ぐんケン見張るくんは、県内各地にいる会員から災害発生時などに送られてくる報告をシステムに蓄積し、国、県、市町村などと情報を共有。蓄積した情報の中から、ツイッターを通じて一般市民向けにも情報を提供する。現地からの正確な情報を伝えることで、地域住民に安心感を与えることに役立てる。
 今回も、清滝建設が土砂崩落で道路が不通となった状況やその後の対応状況を写真と短文で発信。復旧完了までの経過を伝えた。
 地域の建設会社が発信源となった情報は、それを見た人が再投稿する形で拡散していった。青柳会長は「SNSならではのメリット。建設会社の役割を発信することができた」と評価している。

【回転窓】コンペから広がるつながり

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町が復興の橋デザインコンペを行った。1案に絞り込むことができず、2案を優秀賞としてさらに精査することに▼「『決定したが駄目でした』となってはいけない。実現性という視点も含めて考えざるを得ない」。佐藤仁町長は、慎重な判断を下した理由をこう話した▼コンペには、復興へと進む同町への関心を高める狙いもあった。代表が35歳以下という条件だけで、子どもでも応募可能にした。「若い人に、南三陸にもっと注目してもらい、元気づけてほしい」とは、審査委員を務めた平野勝也東北大准教授の言葉▼橋は川の両岸を結ぶ。同時に、被災地と全国をつなぐ懸け橋になってほしい。そんな願いが込められている。優秀賞に選ばれた一人はドイツに拠点を置いている。思いが海を越えた。それだけでも大きな意義がある▼新国立競技場のコンペが注目を浴びている。反省点も多々あるだろう。だが、世界の一流の建築家が、日本で開かれる五輪に関わろうと手を挙げたことも事実だ。せっかく生まれた縁を有効に生かす。そんなしたたかな視点も必要ではないか。

【大容量データ送信に成功】三菱電機とパスコが航空機・地上間通信システム開発

開発した通信システムのイメージ
三菱電機とパスコは、国内で初めて航空機にミリ波(40ギガヘルツ帯)データリンク装置を搭載し、地上に大容量データを送信する航空機・地上間通信システムの実証実験に成功した。災害発生時に、被害状況を撮影した画像の提供に要する時間を従来より大幅に短縮できるという。実験結果を踏まえ、両社は伝送速度の高速化や装置の小型化、各気象条件や国内法への適合など実用化に向けた本格的な検討を進める。
 災害時に被災地の上空から航空機が地上を撮影した画像は、被災状況の把握に不可欠だが、従来は撮影した画像を空港に戻ってからデータ化して災害対策本部などに送るため時間がかかっていた。
 両社が開発した航空機・地上間のミリ波を使用した大容量通信システムを使うと、撮影後の着陸までの移動時間やデータ処理・転送に要する時間を省ける。これまで国内で航空機と地上間のミリ波帯による通信実証実験は行われたことがなかったが、両社は3月末、八尾空港(大阪府八尾市)周辺上空で二つの高度(600メートル、3000メートル)を時速約200キロで飛行する航空機から、地上局に最大で毎秒100メガバイトの伝送を行い、大容量通信の実用性を確認した。
 今回の実験では、航空機と地上の双方に小型軽量の2次元APAA(アクティブフェーズドアレーアンテナ)を使用。地上局のAPAAが上空のミリ波電波を高速で探し出し、ミリ波を送信している航空機が通信エリア(地上局位置から高度600メートル時に半径600メートル、高度3000メートル時に半径3000メートルの範囲内)に進入すると瞬時に捉えて自動追尾する技術を採用した。
 三菱電機はミリ波通信機の開発と機体据え付け、パスコは航空機と実験環境の準備(修理改造、無線局免許など)を担当した。

2015年7月22日水曜日

【高架橋が遊園地に!?】吉浜道路(岩手県大船渡市)の開通プレイベント、7月25日に開催

吉浜遊園地の会場となる越喜来高架橋
(写真提供:川田建設JV)
本年度末の供用開始に向け工事が終盤に入った三陸沿岸道路・吉浜道路(岩手県大船渡市)を1日だけ「遊園地」にする開通プレイベントが、25日に開かれる。
 東北地方整備局南三陸国道事務所が主催し、大船渡市と、吉浜道路の建設に当たる工事連絡協議会が共催する「吉浜道路見学会」で、完成した吉浜高架橋、舗装工事終盤の吉浜トンネル、5月に連結した越喜来高架橋の延長2・9キロ区間を会場に仕立て、さまざまなアトラクションを通じてより多くの人に吉浜道路への理解を深めてもらう。
 イベントでは吉浜高架橋から大型紙飛行機を飛ばしたり、越喜来高架橋を人力車や自転車で通行したりすることができるほか、吉浜トンネル内にはプラネタリウムが出現、さらに肝試しエリアも設けられる。震災以前の国道45号の記録映像鑑賞や測量機器体験、路上での落書き大会も予定されている。
 時間は午前10時から午後3時まで。一般来場は自由で、吉浜側、越喜来側双方に車両用案内板と出入り口、駐車場が設けられる。子どもの参加には父兄の同行が必要。また来場者はイベント保険に加入するための記名が必要となる。吉浜道路が復興道路として開通後は二度と体験できないイベントだけに、「吉浜遊園地」は高架橋やトンネルを楽しむ貴重なチャンスとなる。

【中部整備局の旬な現場・7】越美山系八草川山腹工事(岐阜県揖斐川町)


崩壊した法面㊤を安定化するための工事が着々と進んでいる
揖斐川上流域は、年間平均総雨量3000ミリを超える多雨地帯な上、根尾谷断層などの活断層が多数分布する脆弱な地質。これまでナンノ谷、徳山白谷をはじめ大規模崩壊が発生するなど土砂災害が幾度も発生している。
 10年1月に八草川で発生した山腹崩壊では約2万立方メートルの土砂が崩れ、一部は八草川に流入して河床を1~2m上昇させた。
 越美山系八草川山腹工事は、河道内に流入した土砂を撤去、安定させるのが目的。現在は崩れた土砂の撤去と、表土の風化・浸食・崩壊の拡大を防止し、下流への土砂流出を抑制するための山腹工事を実施している。
 約1万平方メートルの広大な法面で、アンカー工などを実施。吹き付け枠を斜面に設置し、枠内に植生基材(草の種子や肥料を加えた吹き付け材料)の吹き付けて緑化し、崩れた山腹に緑を復元するための工事を進めている。降雪期前の完成を目指して最盛期を迎えた作業中の工事現場を見ることができる。見学の旬な時期は10月頃まで。問い合わせは越美山系砂防事務所総務課(電話0585・22・2161)まで。


【苦節30余年】全長100KM、京都縦貫道が全線開通!!

京丹波みずほIC付近
(写真提供:近畿整備局福知山河川国道事務所)
近畿地方整備局が建設を進めてきた京都縦貫自動車道丹波綾部道路(京丹波わちIC~丹波IC間18・9キロ)が18日午後2時に開通し、全長約100キロの京都縦貫自動車が一つにつながった。18日午前9時30分から予定されていた開通式典は、台風11号の影響で中止となった。
 京都縦貫自動車は、京都府宮津市と京都市を結ぶ延長約100キロの自動車専用道路で、四つ高規格幹線道路で構成する。このうち、丹波綾部道路は京都府綾部市七百石町を起点に京丹波町市森に至る延長29・2キロ。京都府南北間の所要時間短縮と定時性を確保するとともに、舞鶴若狭自動車道などと一体となって高速輸送道路ネットワークを形成し、地域観光・産業の活性化に大きく貢献する。
 93年度に事業化され、96年度から用地取得、97年度から工事を進めていた。14年度に綾部JCT~綾部安国寺IC間2・6キロ、08年度に綾部安国寺IC~京丹波わちIC間7・7キロが開通している。今回、唯一残っていた丹波わちIC~丹波IC間18・9キロが開通し、京都縦貫自動車の全線が一つに結ばれた。

【船だけどゼネコンが修復】重文「明治丸」が蘇った/東京海洋大学、9月に一般公開


 明治初期に建造された国内に現存する唯一の鉄製帆船として、東京海洋大学越中島キャンパス(東京都江東区)に残されている重要文化財「明治丸」の修復が終わった。保存修復工事の施工は大林組が担当した。船の修復は造船会社が行うのが普通だが、今回は船が陸上にあり、上甲板や船橋など船体以外は木造だったため、異例の建設会社による施工となった。
 明治丸は全長68メートル、幅9メートル。1988年の「昭和の大修理」から25年を経て行われた今回の「平成の大修理」では、上甲板を覆っていた防水樹脂を撤去し、甲板整備、マストやヤードの設置、木造建屋の設置などを実施。上甲板にはチーク材が使われ、本物の木甲板に生まれ変わった。「海の日」前日の19日に内覧会が行われ、関係者に披露された。一般公開(無料)は9月から。

【回転窓】朝も夜も早くが大事


 長時間労働を断ち切る方法として早朝勤務を推し進める動きが官民で活発化している。霞が関の官庁街では「ゆう活」と銘打ち、7月と8月は朝早くに仕事を始め、早く退庁する運動を展開中だ▼民間企業でも、深夜残業を禁止し、早朝勤務で手当を増額したり、朝食を提供したり。あの手この手で働き方を変えようという取り組みが進んでいる▼仕事の拘束時間が長く、夜遅くまでの残業も当たり前という風潮が日本にあったのは事実。家庭も顧みず仕事に没頭することを「仕方がない」と考える人も少なくなかったろう。それだけに早朝勤務という働き方は、健康的なライフスタイルを実践する上で合理的な方法なのかもしれない▼仕事に追われれば、生活に余裕やゆとりがなくなるのは当然といえば当然だ。「仕事が生きがい」という人も食事はするし夜は寝る。寝る間を惜しんで働き続けても、いつかはそれに耐えられなくなる▼夜型から朝型への切り替えは実践する価値があると思える。だが、それは「朝も夜も早く」を定着させることが絶対条件であろう。早朝勤務の職場が、実は不夜城では意味がない。

2015年7月21日火曜日

【またまた、帰ってきたちょっと一息】鉄道会社らが「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーン


 鉄道駅や商業施設、オフィスビルなど数多くの場所に設置されているエスカレーター。階段と並列で設置されていると、「やっぱりこっちかな」と利用したくなるのは、決してぐうたらだからというわけではないでしょう。あって当たり前と思えるエスカレーター、関東で右側、関西では左側を空けるのがいつの間にか習慣になりました。マナーが良いようにも思えるけれど、利用待ちの列ができているのに左右どちらかが必ず空いていることに、以前からなんだか違和感も…。海外でこうした習慣はないと思うし、エスカレーターを急いで上り下りする光景もあまり見かけたことはないような気がします(映画などではありがちですが)。
 さて、鉄道会社や商業施設、空港会社、昇降機メーカーなどが連携し、7月21日からエスカレーターの「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンが始まりました。エスカレーターの転倒事故は意外に多く、自身でバランスを崩して転ぶ以外に、空いている片側を駆け上がり、駆け下りた際にぶつかり転倒させてしまい、重大事故になるケースもあります。
 急ぎたい気持ちは理解できるけれども、転べば痛いし、転ばせてしまえば痛いでは済まなくなることも十分あり得ます。ブログ管理人は以前、怪我&手術で3カ月ほど松葉杖生活を送った経験がありまして、エスカレーターがあれば必ず利用していました。その時、空いたとなりのスペースを人が行き来するのは本当に怖かったです。特に下りを利用している時は。
 片側を空けるのは、きっと急いでいる人への優しい心遣い。その優しさを少し方向転換して、みんなが安心して利用できるエスカレーターになればいいな、と思う今日この頃です。

【安藤ハザマ奉納協賛】明治神宮薪能に500組1000人をご招待

日本文化の神髄が堪能できる
中秋の恒例行事となった明治神宮薪能が10月12日、東京都渋谷区の明治神宮で開かれる。安藤ハザマが奉納協賛する薪能は今年で34回目。大蔵流狂言師の大蔵吉次郎氏、観世流26世宗家の観世清和氏らが出演を予定しており、拝殿前に設けられた舞台で名人芸を披露する。開演は午後6時。
 演目は仕舞「道明寺」「山姥」、狂言「止動方角」、能「羽衣」。能に出演する観世清和氏は重要無形文化財総合認定保持者で、これまでにフランス文化芸術勲章シュバリエ、芸術選奨文部科学大臣賞などを受けている。15年春に紫綬褒章受章。
 明治神宮薪能実行委員会は500組1000人を無料で招待する。観覧希望者は、往復はがきの往信面に郵便番号、住所、氏名、電話番号、返信面に郵便番号、住所、氏名を明記し、「明治神宮薪能実行委員会KK係」(〒107―8658 東京都港区赤坂6の1の20、安藤ハザマCSR推進部内)へ。
 締め切りは8月31日(当日消印有効)。応募者多数の場合は抽選となる。問い合わせは実行委(電話03・6234・3609)へ。

【腕自慢の参戦求む!!】建コン協がフォト大賞作品募集


 建設コンサルタンツ協会(建コン協、長谷川伸一会長)は、第7回「建コンフォト大賞」の作品募集を開始した。
 土木施設の役割を広く認識してもらうことなどを目的に実施している写真コンテストで、「あなたのお気に入りの『土木施設』」がテーマ。最優秀賞には賞状と副賞として10万円相当の商品券が贈られる。
 締め切りは9月30日。募集要項などは建コン協のホームページへ。建コン協は8月1~7日、昨年度に実施した第6回「建コンフォト大賞」の入賞作品展示会を行う。開催場所は首都高速道路川口線上りの川口パーキングエリアにある無料休憩所。入賞作品13点とともに、建設コンサルタントの役割などを記したパネルも展示する。

【回転窓】海洋生物を守る

(2回目の登場だけど)これはマグロです、念のため
ものを数える時に数をごまかすことを「サバを読む」という。このサバは魚の鯖のことだと長年思っていたが、どうも語源には諸説があるらしい▼こんな説が。鮨屋で客が食べた鮨の数を忘れないように、板前が鮨を握るたびに飯粒を一つずつ置いていく。その飯粒を「生飯(さば)」といったからという説。仏様に捧げるために取り分ける飯を「散飯(さば)」と言うが、この量が少ないからというのもある▼いずれも数にまつわることだが、数をごまかしたりごまかされないようにしたりというところからきているようだ。機械ならともかく、人がものの数を正確に把握し、管理するのは意外と難しいということなのだろう▼ある漁港関係者から全国各地の海岸でコンブなどの海草類が減少する「磯焼け」現象が起きていると聞いた。原因は解明されていないが、ウニなどの藻食動物が大量発生し、藻類を食べ尽くしたケースもある。背景には漁業従事者の減少で、ウニの捕獲が計画的にできていないこともあるようだ▼海洋環境の変化は海の生き物たちの数に直結する。ごまかしがきかない世界だけに、慎重な対策が求められる。