北陸地方整備局は、15年度に実施計画調査に着手した信濃川水系の大町ダム等再編事業(長野県大町市)の概要を明らかにした。同事業は、既設の発電用の高瀬、七倉の2ダムの発電容量の一部と、既設の多目的ダムの大町ダムの水道容量の一部を洪水調節容量に転用して、下流部の信濃川支流の高瀬川と千曲川沿川の都市や田畑を洪水から守る事業。3ダム合計の洪水調節に転用する容量は約1267万立方メートルを想定している。総事業費は約225億円で、15年度は調査費として約1億7700万円が配分されている。施設概略検討、環境調査などを実施する予定。
◇大町・高瀬ダムつなぐトンネルとベルコン新設◇
再編事業では、既存のダムの機能に影響を与えないように洪水調節機能を追加して長期的にそれを維持するために高瀬、大町の2ダムをトンネルとベルトコンベヤーとでつなぐ。いずれも新設でトンネルは約7キロ、ベルトコンベヤーは約14キロを想定しているが、実施計画調査中に詳細を検討するとしている。両施設は高瀬ダムに流入する土砂を下流に運んで高瀬ダムの貯水容量を安定的に確保するために設ける。
このほか、3ダムの洪水調節容量を効率よく運用するために操作ルールを変更する。再編事業の完成により、戦後最大規模の降雨量の大雨が信濃川上流部で降っても長野市内の定点観測場所の立ケ花地点を流れる千曲川が氾濫する心配はなくなり、その効果は新潟県内の信濃川中流部まで続くという。
◇洪水調整機能強化で千曲川の氾濫抑制◇
長野市や飯山市を襲った戦後最大の「昭和58年9月洪水」では千曲川本川の堤防が決壊した際に両市を中心に床上浸水3891戸、床下浸水2693戸の被害が出た。
北陸整備局は、再編事業が完成すれば、河川改修とあわせて、当時と同規模の大雨が降っても建物被害はなくなると想定している。
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