先日、還暦を迎えた業界関係者を取材する機会があった。新しい職場での仕事への意気込みを力強く語る姿が印象的だった。定年の60歳が分かれ目とされた昔と違い、今はその境が分からないほど元気な「生涯現役」の高齢者が社会にあふれている▼人数が多い団塊世代の一斉リタイアの影響が危惧された「2007年問題」。65歳までの雇用延長などによって5年後の「2012年問題」へと先送りされたが、この間に東日本大震災や政権交代など社会・経済情勢は目まぐるしく変化した▼ここ数年の景気回復傾向も背景に需要が急増した建設業界では、人材不足が企業経営の足かせになっている。新規・中途採用に加え、OB技術者の再雇用も活発だ▼長年にわたって培われた技術や経験は一朝一夕には手に入らない。現場を支えてきた熟練技術者の代わりを見つけるのも難しい。高齢者が長く活躍できる場を創出することは重要だ▼一方で、組織を活発に保つためには、過去の実績に固執せず、後進に道を譲っていくことも必要だろう。若者より元気なお年寄りが目に付く昨今。組織管理も難しさを増している。
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