池袋駅周辺のまちづくり動向 |
「これまで立ち消えになったり、遅々として進まなかったりした開発計画が多々あったが、これからはそれぞれの開発事業が確実にスピードアップし、現実化していくだろう」。同地域の指定を以前から訴えてきた豊島区の高野之夫区長は「(池袋の発展は)新宿、渋谷に立ち遅れていたが、これで着実に街の核ができてくる」と期待を示す。
区がまず想定しているのは、再開発事業が計画されている池袋駅西口地区(約4・5ヘクタール)への都市再生特別地区の適用だ。同特区の適用によって、地区内の容積率の割り増しを目指す。今秋にも地権者らで再開発準備組合を設立し、駅ビルの東武百貨店池袋本店を含む大規模再開発の事業化を加速させる。現在、街づくり協力者として三菱地所が参画し、詳細な再開発プランの検討を進めている。
旧区庁舎と豊島公会堂・分庁舎の敷地(計6687平方メートル)で計画されている新しい区民ホールを含めた複合開発事業では、税制特例の適用を想定している。区は、同敷地に定期借地権を設定し、東京建物を代表企業とするグループ(構成員=サンケイビル、鹿島)に貸し出すことを決めている。契約締結後、16年4月に既存建物の解体に入り、同11月に総延べ約7・4万平方メートルのビル2棟の本体工事に着手する予定だ。
新区庁舎の隣接地で検討されている南池袋二丁目C地区(約1万6700平方メートル)の再開発事業では、事業期間の短縮が期待されている。都の環境影響評価手続きは通常、延べ床面積10万平方メートル以上の建物が対象となるが、同地域に指定されると15万平方メートル以上に対象が緩和されるからだ。
再開発によって池袋は大きく生まれ変わろうとしている |
東池袋四・五丁目では、地区内を縦断する都市計画道路補助81号線の整備工事に伴い、沿道で共同建て替えなどの機運が徐々に高まっている。16年度に移転する造幣局東京支局の跡地を活用し、玉突き式に共同建て替えを進めるという新しい木密地域解消法のモデル実証事業も、国土交通省が主導して進むとみられる。
ただ、同地域の規制緩和を受けるには、いずれも広大な区域(都市再生特区は5000平方メートル以上)で大規模開発を計画することが必要。木密地域は小規模な建物が点在し、地権者も多いことから、ハードルが高いのが実情だ。
こうした中、造幣局の南側の1~2ヘクタールの区域の地権者らは先月、「造幣局南地区まちづくり協議会」を設立。同地域の指定による規制緩和も考慮に入れ、街づくりのあり方を検討していく考えを示している。
区も、こうした地元地権者や民間事業者の動きを後押しする。今月末には有識者や関係者など40人程度で構成する「池袋駅周辺地域再生委員会」(委員長・岸井隆幸日大教授)を立ち上げ、16年度早期の策定を目指して街づくりガイドラインの検討を始める。街づくり団体や民間事業者と連携し、池袋駅を中心とした都市基盤整備の検討も進めるという。
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