2015年7月23日木曜日

【大容量データ送信に成功】三菱電機とパスコが航空機・地上間通信システム開発

開発した通信システムのイメージ
三菱電機とパスコは、国内で初めて航空機にミリ波(40ギガヘルツ帯)データリンク装置を搭載し、地上に大容量データを送信する航空機・地上間通信システムの実証実験に成功した。災害発生時に、被害状況を撮影した画像の提供に要する時間を従来より大幅に短縮できるという。実験結果を踏まえ、両社は伝送速度の高速化や装置の小型化、各気象条件や国内法への適合など実用化に向けた本格的な検討を進める。
 災害時に被災地の上空から航空機が地上を撮影した画像は、被災状況の把握に不可欠だが、従来は撮影した画像を空港に戻ってからデータ化して災害対策本部などに送るため時間がかかっていた。
 両社が開発した航空機・地上間のミリ波を使用した大容量通信システムを使うと、撮影後の着陸までの移動時間やデータ処理・転送に要する時間を省ける。これまで国内で航空機と地上間のミリ波帯による通信実証実験は行われたことがなかったが、両社は3月末、八尾空港(大阪府八尾市)周辺上空で二つの高度(600メートル、3000メートル)を時速約200キロで飛行する航空機から、地上局に最大で毎秒100メガバイトの伝送を行い、大容量通信の実用性を確認した。
 今回の実験では、航空機と地上の双方に小型軽量の2次元APAA(アクティブフェーズドアレーアンテナ)を使用。地上局のAPAAが上空のミリ波電波を高速で探し出し、ミリ波を送信している航空機が通信エリア(地上局位置から高度600メートル時に半径600メートル、高度3000メートル時に半径3000メートルの範囲内)に進入すると瞬時に捉えて自動追尾する技術を採用した。
 三菱電機はミリ波通信機の開発と機体据え付け、パスコは航空機と実験環境の準備(修理改造、無線局免許など)を担当した。

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