2015年7月23日木曜日

【回転窓】コンペから広がるつながり

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町が復興の橋デザインコンペを行った。1案に絞り込むことができず、2案を優秀賞としてさらに精査することに▼「『決定したが駄目でした』となってはいけない。実現性という視点も含めて考えざるを得ない」。佐藤仁町長は、慎重な判断を下した理由をこう話した▼コンペには、復興へと進む同町への関心を高める狙いもあった。代表が35歳以下という条件だけで、子どもでも応募可能にした。「若い人に、南三陸にもっと注目してもらい、元気づけてほしい」とは、審査委員を務めた平野勝也東北大准教授の言葉▼橋は川の両岸を結ぶ。同時に、被災地と全国をつなぐ懸け橋になってほしい。そんな願いが込められている。優秀賞に選ばれた一人はドイツに拠点を置いている。思いが海を越えた。それだけでも大きな意義がある▼新国立競技場のコンペが注目を浴びている。反省点も多々あるだろう。だが、世界の一流の建築家が、日本で開かれる五輪に関わろうと手を挙げたことも事実だ。せっかく生まれた縁を有効に生かす。そんなしたたかな視点も必要ではないか。


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