2015年7月31日金曜日

【どうなる新国立競技場】槇文彦氏らが会見、進め方で見解示す

会見する槙氏㊧ら=7月30日都内で
 2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の整備計画見直しをめぐり、建築家の槇文彦氏を代表とするグループが30日、政府が検討する新国立競技場の今後の進め方に関する見解を公表した。新たな競技場は、安全性、集客力、景観、維持管理、首都圏各都市による機能分担を考慮し、旧競技場とほぼ同じの5万~6万人を収容する規模にするべきだと指摘。大会中は仮設席を設けて8万人を収容することを提案し、その具体策として2案を提示した。整備予算は当初想定の1300億円未満とした。近く政府に提出する。
 一部を仮設とする新競技場案は、小判形の本設部分(収容数5・5万人)の外周に仮設部分(2・5万人)を設けるA案と、小判形の本設部分(5・5万人)の片側先端部を大会中だけ延ばして仮設部分(2・5万人)とし、大会終了後に小判形に戻すB案の二つ。両案ともに客席上部には屋根を架ける。
 施設規模については、▽災害時や緊急時に全観覧者がすぐに避難できる周辺空地の確保▽8万人を集められるスポーツチームが日本にない▽皇居から代々木公園にかけて連続する緑地は風致地区であり、景観的、生態的、防災的に貴重で重要な存在▽修繕更新を踏まえた過大な観客席と冷房設備の大会後の撤去▽横浜、調布、さいたまの既設の大規模競技場との役割分担-の五つの観点を考慮する必要があると指摘した。

 ◇事業費は1300億円未満で◇

 新競技場の中心的機能についても、世界のスポーツ施設の潮流は種目別専用施設を志向し、機能性が劣る兼用(複合)施設ではないと強調。工事費も、過去の五輪都市の主会場の建設費を考えると、当初の1300億円でも十分すぎ、これを超える理由はどこにもないとした。
 30日に都内で会見した槇氏は、当初案の白紙撤回を歓迎する一方、設計から施工にかける時間が迫っていることに懸念を表明。政府がコンペ方式で新デザインの決定を検討していることについては「いいアイデアを出したところを選定すべきだ。建築家、施工者の腕の見せ所になる」と述べた。
 現時点で政府からコンペの審査員への要請はなく、自身やグループでコンペに参加する意思もないとした上で、「国民に50年、100年後に愛される施設ができるかを見守りたい」と中立の立場で政府の動きを注視する考えを示した。
 デザイン監修の契約解除を通告された英建築家ザハ・ハディド氏の事務所(ザハ・ハディド・アーキテクツ、ZHA)が28日に安倍晋三首相に計画見直しに協力する意向を伝えたことには、「政府は白紙撤回といっている。再コンペに参加するかはご自身で決めることだ」と話した。
 適正な工事費については「7万2000人を収容できる横浜の日産スタジアムは600億円でできた。恥ずかしいものではない」と述べるにとどめた。

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