2015年7月10日金曜日

【ヨーグルトのふたと同じなの?】清水建設と東洋アルミ、「蓮の葉」効果の超撥水コンクリ型枠開発

新しい型枠㊨と従来型枠の仕上がり比較
清水建設は、東洋アルミニウムと共同で、コンクリートの表面品質を向上させる超撥水(はっすい)型枠を開発した。水をはじく効果が大きいハスの葉の表面機構を模したバイオミメティクス(生物模倣)技術で型枠表面に超撥水効果を付与。美観を損なう表面気泡や色むらを大幅に抑制し、美しく高品質なコンクリートを構築できるようにした。超撥水層をコーティングした合板やフィルム、コート剤での商品化を検討。建築、土木問わず美観と品質に優れたコンクリート構造物の提供に役立てる。
 コンクリートの美観を損なう表面気泡は、コンクリート打ち込み時に巻き込まれた気泡が型枠との界面に残ることで発生する。このため打ち込み時に振動を加えながら気泡を除去しているが、通常の型枠を用いた場合、表面気泡がある程度残ってしまう。水をはじくハスの葉は、無数の微細な凹凸によって表面積が増加し、超撥水性を発揮する。東洋アルミはこの特性に着目し、疎水性のある3次元網目構造による包装材料を商品化。ヨーグルトのふたの内側などに使用されている。
 清水建設は、ハスの葉の表面機構を模したバイオミメティクス技術を建設用素材に応用展開した。今回の超撥水型枠「アート型枠」は、水をはじく疎水性の微細な凹凸形状を型枠表面に付与。超撥水層が気泡の除去効果を発揮する。超撥水効果により、気泡はその場にとどまることなく、浮力によって型枠との界面を滑るように外部に抜けていく。表面気泡を大幅に抑制し、美しい見栄えのコンクリートを実現する。さらにコンクリートの色むらを解消する効果も発揮する。コンクリート表面に転写された微細な凹凸が光を乱反射し、表層部の明度が均一に高くなる。これによって表面が色むらのない明るい仕上がりとなる。
 表面の気泡率は、超撥水層を施していない合板が2・48%だったのに対し、施した合板は0・01%と大幅に低減。木質型枠(広葉樹合板、針葉樹合板、杉板)だけでなく、鋼製型枠(メタルフォーム)やゴム製型枠でも有効性を確認済みだ。表面気泡が多く生じやすいハンチ部(斜めの部分)でも表面気泡の抑制効果が表れた。超撥水層が残っていれば、繰り返し利用や転用も可能。型枠、コンクリート、表面仕上げの工事全体でコストメリットを引き出す。
 東洋アルミが型枠用の超撥水加工素材・加工方法の検討、清水建設がコンクリートの美観向上効果の検討をそれぞれ担当した。両社は今後、型枠工場で超撥水層をコーティングする「超撥水合板」に加え、建設現場やPC工場などで型枠に超撥水加工を施す「超撥水フィルム」「超撥水離型剤(はけ・スプレー)」の商品開発などを推進する。


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