役所が定めた規制には実にさまざまなものがある。それらの多くは、一度決めると、廃止はおろか変更も難しいのが常。そのうちに現実と規制とがどんどん乖離(かいり)していく▼先日読んだ小さなニュースで、そんなことをあらためて考えさせられた。厚生労働省は「美容師は男性にカットのみのサービスを行ってはならない」とした通知を廃止したという。通知は旧厚生省時代の1978年に局長名で出し、併せて理容師が女性にパーマを行うことも禁じていた▼通知から37年。厚労省は今回、美容師にカットだけを頼む男性客は多いとして、「通知は現実と乖離している」と性別による規制をなくす判断をしたそうだ▼何を今更といったたぐいの話だが、これほどの長きにわたって通知を墨守した役所の粘り腰に驚かされる。それでもなお「ひげそりは理容師だけに認める」との規制だけは残すそうだから、なかなかしぶとい▼役所の無意味な規制が新しいビジネスや自由な営業を阻んでいるとしたら罪は深い。建設分野ではどうだろう。はしの上げ下ろしまで指図するような古色蒼然(そうぜん)とした規制はないと信じたいが…。
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