2015年7月15日水曜日

【迅速対応の一助に】九州大学と富士通研究所が震災復旧計画の立案システム開発


 ◇スパコン活用、最適計画を高速具体化◇ 

 九州大学と富士通研究所は、大規模災害発生時にライフラインや交通網の復旧計画を高速立案する技術を確立した。九大のマス・フォア・インダストリ研究所が計画立案用のアルゴリズムを開発し、スーパーコンピューターで復旧活動の最適な人員配置とスケジューリングをリアルタイムに計算。被害の拡大状況や復旧の作業進ちょくに応じて、最新の計画が即座に提示できるという。
 九大らは、刻々と変化する被災地の状況を取り込みながら、大規模な復旧計画を効率的に立案するシステムとして、スパコンで実行可能な数理最適化技術を開発した。地震や風水害など大規模な災害が起こった場合、二次災害や道路や鉄道の寸断など、不測の事態が発生する。短時間で状況が大きく変化する状況下で、災害対策本部となる行政機関は、避難誘導や応急復旧などの計画を素早く立案し、行動に移す必要がある。
 計画立案には、被災状況に加え地理情報や住民情報など膨大なデータが不可欠。短時間で大量のデータが処理できるスパコンを活用することで、複雑な条件でも最適な作業スケジュールの具体化が可能になった。シミュレーション結果によると、約500箇所の復旧ポイントが存在し、64チームの作業班が充てられる災害の復旧計画がわずか3分で立案できたという。被害の拡大や作業進ちょくなど基礎データが変化しても、その都度計算し直せばほぼリアルタイムで計画内容が更新できる。
 復旧計画は、作業の優先所や担当地区優先、動労時間制約など数多くの条件を考慮して立案可能。災害対応目的で開発したが、アルゴリズムと計算環境は、流通・物流分野の配送計画立案などにも応用でき、災害対応だけにとどまらない用途への展開も視野に入れている。

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