2015年10月10日土曜日

【盆栽の魅力満載】エリア発-石井造園(横浜市栄区)/盆栽カフェ運営が巷の話題に


 ◇人を引き付ける緑の魅力◇

 コーヒーを味わいながら盆栽談義に花を咲かせる-そんな一風変わったコミュニティースペースが横浜で話題になっている。石井造園(横浜市栄区)の石井直樹社長が企画・運営する「盆栽カフェ」は、コーヒー片手にゆっくりと盆栽を鑑賞したり手に取って確かめたりでき、気に入った盆栽を購入することもできる盆栽を核にした交流スペースだ。

 盆栽が初めての人には手入れ方法なども石井社長が懇切丁寧に手ほどきする。興味はあるが、毎日の世話などに不安があるとためらう人にとっては絶好の入門教室になっている。

 「BONSAI」は日本発祥の文化・芸術として世界的に人気が高まっている。その一方で値段が高いとか特別な技術が必要といった先入観もあり、取っ付きにくい印象も否定できない。石井社長はカフェで気軽に手に取ってもらうことで、初めての人や若い人にも盆栽の良さを知ってもらうきっかけづくりになればと、盆栽カフェを思いついたという。

 石井造園は来年、創業50周年を迎える。石井社長の父である石井昭彦会長が「石井園芸」として創業した。当時から会長は盆栽を趣味としており、横浜では知られた盆栽名人だ。ところが石井社長は盆栽にまったく興味がなく、盆栽に囲まれた生活をしていながら触れたこともなかったという。

 ところが数年前、ふと思い立って手にしてみてから、そのまま盆栽の魅力に取り付かれてしまったという。そこからは早かった。もともと樹木に関する知識や技術はある上に、身近に父親という師匠もいる。今では会社の敷地内に多数の盆栽が所狭しと並べられ、日々剪(せん)定などの世話に余念がない。

 「ある盆栽の展示会で外国人が『アメージング』と言いながら作品の前でくぎ付けになっているのを見て、年齢や国籍などに関係なく人を引き付ける力があるものだと再認識した」と盆栽の魅力を語る石井社長。その魅力を老若男女問わず、より多くの人に知ってもらいたいとの思いから、盆栽カフェを開いている。

 ◇手入れ方法をカフェで指導◇

 現在は横浜市内の黄金町(中区)と中華街パーキング(同)、さくらWORKS(同)の3カ所で月に1回ずつ計3回開催。「思ったよりも若い人が来店してくれる」と話し、盆栽の裾野を広げるという狙いにも手応えを感じている様子だ。盆栽も高価なものではなく、気軽に買い求められるよう小型サイズを20~30鉢そろえている。値段も1000~4000円程度と手ごろだ。

 「盆栽は月に一度程度は手入れが必要。せっかく買っても、手入れ方法が分からず枯らしてしまう人が多い。月に数回、定期的にカフェを開くことで購入後の相談に乗ることもできる」と説明。カフェはコミュニティースペースであるとともにアフターケアの役割も担っている。「おかげで開催日を待って来てくれるリピーターも増えています」と評判は上々だ。

 「実は盆栽の普及だけが目的ではない」と石井社長は話す。横浜市造園協会の広報担当理事も務めており、「盆栽や草花に興味を持ってもらうことで、まちの緑化や自然環境を大切にする心を育むきっかけになることにも期待している」と造園業界のPR担当としての顔ものぞかせる。

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