◇全国鉄筋技能大会初代日本一に◇
「鉄筋を組み上げた後、15分間しっかりと見直しを行った。速さよりも精度や品質が重要だと思っていましたから。それが評価されたのではないですか」。10月17日に富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で行われた第1回全国鉄筋技能大会で、初代日本一に輝いた。
幼いころの夢は自動車整備士になること。16歳で鉄筋工になったのは、整備士の専門学校に通う資金を稼ぐため。鉄筋工だった父親と一緒に現場に行き、こつこつとお金を貯めることだけを考えていた。
親方や先輩から指示を受けながら少しずつ仕事を覚えていく。そのうち「鉄筋工で頑張ってみようかな」という気持ちが芽生えた。現場に出始めて2年過ぎた18歳の時だ。父親に相談すると、「この業界は厳しいからよく考えろ」と言われたが、気持ちは変わらなかった。ひたすら鉄筋を組み、24歳で職長に。「上司が担当していた班(職人5人で構成)を引き継いだのですが、プレッシャーでした。早く人から認められる仕事をしたいという気持ちでいっぱいでした」。
優勝後にうれしいことがあった。久しぶりに担当現場に行くと、仲間たちが自分の指示通りに複雑な鉄筋を組んでくれていた。「どこの班にも負けない品質の良いものを提供するというのが今の一番の目標です。それを後輩にも伝え、自分の後輩が日本一になれるよう指導していきたい」。
(まつだ・ゆうさく、埼玉県出身。32歳)
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