2015年10月15日木曜日

【一目瞭然】日本ペイントが透明樹脂保護塗装で橋梁劣化を可視化


 日本ペイントは、コンクリートの劣化原因となる水分や塩分などの浸透を防ぐ透明な保護塗装材「ニッペ タフガードクリヤー」と、火災の危険がない水性防食下地材「水性ジンキー8000HB」をそれぞれ開発した。いずれも15日に発売する。タフガードクリヤーはコンクリート橋梁の補修向け商品として5年後に年間10億円の売り上げを目指す。8000HBは下塗りから上塗りまでの既存の水性塗装材と組み合わせて「ニッペ水性防食システム」として大型構造物の防食下地向けに販売し、今期は現在の売り上げ(14年実績3000万円)の3割増を見込む。

 従来のフッ素などを原材料としたエナメル保護塗装材は、着色されているため、塗装後はコンクリート躯体を完全に覆い、クラックなどの早期発見が難しいという課題があった。最近はコンクリートの劣化を点検する技術者が不足していることもあり、保護性能を備えながら、簡便に目視検査で劣化を早期に見つけられる商品の需要が高まっていた。

 新たな保護塗装材「タフガードクリヤー」は土木研究所と共同開発した透明なアクリルシリコン製のはっ水材で、橋梁のコンクリート表面に塗装した後も目視による点検が可能。劣化因子(水分、塩分、二酸化炭素など)の遮断性に優れ、耐候性、柔軟性も有するため20年の長期にわたって表面を保護するという。従来のエナメル保護塗装材は10年に1回の全面塗り替えが必要で、タフガードクリヤーを使うと補修コストが10%程度抑えられる。特別な点検装置も不要になる。施工日数は2日と、従来のエナメル塗装の4日程度に比べ1~2日短縮できる。

 水性防食下地材「水性ジンキー8000HB」は、水性有機樹脂(エポキシ樹脂)を採用した厚膜塗装を可能とした有機ジンクリッチペイントで、さび止め塗料より防さび力が高い。構造物の鉄面に直接塗布できる。

 従来の溶剤系塗料と防食性能を備えながら、臭気が少なく、揮発性有機化合物(VOC)の削減による環境負荷の低減に寄与する。消防法上の非危険物として取り扱いが可能なため、同社は行政に使用の届け出が要らない安全性の高い環境にやさしい塗料として、工場プラントや橋梁、市街地の大型タンク類、駐車場の鉄骨部などの下地材として販売を強化する。

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