「頑張れ」は人を応援する時の代表的な言葉だが、安易に使ってはいけない場面もある▼例えば、目に障害のある人が出場するマラソン大会。「頑張れ」と声援を送りたくなるが、実はこれが過ぎると危険を伴うという▼視覚障害者ランナーに良い記録を出してもらいたいと、伴走者が〈頑張れ〉などと叱咤激励するのは危険だと日本盲人マラソン協会が注意を促している。過度な激励が無理を強いてしまうというのが理由。伴走者とは違うが、同じ大会を走る一般ランナーや沿道の応援者も心に留めておきたい▼中学生の駅伝大会を観戦した時、1区の選手がスタートする陸上競技場では、その1分前からは声を上げて応援しないようアナウンスが流れていた。選手たちの集中を妨げないための配慮で、人を激励するにも言葉やタイミングをよく考えたい▼太田肇同志社大政策学部教授は自著で〈…九〇年代を境に、努力の「量」ではなく「質」が求められるようになった〉と書いている。上司が部下にただ〈頑張れ〉と繰り返すのは相変わらず量を求めるのと同じ。これでは個人や組織も成果を上げるのは難しい。
0 comments :
コメントを投稿