澄川喜一氏と作品「TO THE SKY」 |
◇彫刻やオブジェ11作品配置◇
パークシティ大崎は、5街区に分けられた敷地に複数の道路が行き交い、その交差点の脇に高さも役割も異なる建物群が並ぶ。職住近接の新しい街並みは敷地の30%が緑地で、働く人にも住む人にも憩いの場を提供する。最新の設備を備え、ガラスが多用された各建物は開放感にあふれ、行き交う人々に空に向かうイメージを感じさせる。
清水氏は、美術館に13年勤務した後、パブリックアートのディレクターに転身。現在は学習院女子大教授も務める。パリに長年暮らし、アートが街の中にある光景に親しんだ。「アートは都市の中に必要」との信念を持ち、これまで数多くの都心の再開発事業でアートワークを手掛けてきた。
パークシティ大崎の建物配置 |
◇出会いを演出、想像力育む◇
清水氏が提案したアートワークのテーマは「クリエーティブ・クロッシング」。敷地内の交差点(クロッシング)に着目し、11のアート作品を敷地や建物の入り口、マンションのロビー、屋上庭園など人が集う場所に配置し、出会いを演出する。アートワークの役割を「新しいまちと人との出会いを円滑にするとともに、非日常の光景を提供し、豊かな想像力を育むことにある」と話し、「11個の作品が、パークシティ大崎という街に活力と潤いを与えられたらうれしい」と強調する。
頭を悩ませたアーティストの選定では、クオリティーの高い作品を制作できるベテランと、ダイナミックな作品を作る中堅や若手をバランスよく起用。保育園が近くにあり、親子連れが多いことも考慮し、子どもが触れても安全な作品を依頼した。パークシティ大崎ザレジデンス(住宅棟)のエントランス近くにあるガラス作品「amorphas」はベテランの狩野智宏氏が制作した。見る場所、時間によってさまざまな表情を見せ、常に新しい発見ができる楽しみを与えている。
大崎ブライトプラザ(商業棟)の屋上庭園には若手を中心に3人のアーティストの作品を設置し、にぎわいを創出した。渡辺元佳氏が手掛けた「ぽたんひつじ」は椅子にもなるユニークな作品だ。
東京ミッドタウン(東京都港区)や大手町フィナンシャルシティ(同千代田区)、豊洲フォレンシア(同江東区)でアートワークを手掛けてきた清水氏。プロジェクトによってテーマは異なるが、都市のアートが担う役割の共通点に、▽街のシンボルとなる▽住人や訪問者に安らぎの場を提供する▽冷たい印象を与える建物に人間的なぬくもりを加える▽安全で堅固-を挙げる。
都市にこそアートが必要という清水氏は「アートは都市の装飾ではなく、構造自体に関わる存在。ロンドンやパリ、ニューヨークと比較しても、現代アートを発信する施設、機会が不足している東京で、都市構造に関わるアートワークを今後も提案していきたい」と話している。
《パークシティ大崎の作品》
【大崎ブライトタワー】TO THE SKY(澄川喜一)▽宙に描く(伊藤隆道)
【パークシティ大崎ザレジデンス】amorphas(狩野智宏)
【大崎ブライトプラザ屋上】どんぐり(ラム・カツイール)▽ぽたんひつじ(渡辺元佳)▽午後の陽だまり(長崎哲士)
【パークシティ大崎ザタワー】Cloud9(ケイト・トムソン)▽覚醒する風景(片桐宏典)
【大崎ブライトコア】ざわざわと、ひゅんひゅんと、ぎっぎーっと(五十嵐威暢)▽永遠(西田明未)
【Sumビル】ステラ マシーン(タムラサトル)
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