2015年10月20日火曜日

【安全安心の確保へ】関東整備局が鬼怒川決壊堤防の本復旧工法案


 ◇最大1・4Mの堤体かさ上げ◇

 関東地方整備局は、9月の関東・東北豪雨で一部決壊した鬼怒川左岸堤防(茨城県常総市三坂町、延長約200メートル)の本復旧の工法案をまとめた。破堤の主な要因とされる越水への対策として、堤体の高さを破堤前(平均約4メートル)より、最大1・4メートルかさ上げする。川の水の堤体や基礎地盤への浸透を抑止するため、▽鋼矢板による川表(川側)遮水工▽遮水シートとコンクリートブロックによる川表のり面被覆工▽川裏(住宅地側)のり尻部へのドレーン工-などを併用する方針も示した。

 破堤区間には、根固めブロックや石材などを積み上げた仮の堤防が応急復旧作業で既に構築されているが、強度が不十分なため、良質な土などで堤体を造り直す必要がある。本復旧の工法案は、19日にさいたま市中央区の本局で開かれた第3回鬼怒川堤防調査委員会(委員長・安田進東京電機大理工学部教授)で明らかにされた。

 最大1・4メートルのかさ上げにより、破堤区間の堤高は、治水対策の基準となる洪水の高さ(計画高水位)より1・5メートル高くなる。天端幅は6メートル(破堤前3メートル)、敷き幅は50メートル(同30メートル)の規模に広がり、鬼怒川の河川整備方針の計画水準を満たす堤体となる。本復旧の施工中、でこぼこになっている破堤区間の基礎地盤に関しては、良質な土に入れ替え、築堤の際に不均等な沈下が起こるのを防ぐ。堤体斜面のコンクリートは土で覆った上で、植生工を実施する計画も示した。

 委員らから、施工上の課題の一つとして指摘されたのが、本復旧を行う区間と、その上下流部の暫定堤防との構造のバランスに対する配慮。関東整備局は、本復旧区間との連続性を損なわない堤防のつなげ方や、遮水シートの設置方法などを上下流部では検討すると報告した。

 着工時期は検討中。関東整備局は、降雨の影響で河川が増水しやすくなる出水期(6~10月)を考慮した施工計画を早期に立案する。堤体の幅は川側に広げる計画で、住宅地側の新たな用地買収は必要ないとしている。

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