柱・梁接合部の鉄筋3Dモデル |
同ソフトは、同社が開発を進める「RC一貫生産支援システム」(RCS)の鉄筋工事分野を担う。従来、鉄筋工事の納まりの検討は、2次元CADで行っていたが、複雑な配筋ルールの反映、設計図やコンクリート施工図との調整など、完成までに多くの手間がかかっていた。加工図は、手描きや2次元CADで主に鉄筋工事協力会社が作成するため、鉄筋工事の職長に負荷がかかっていた。
これまで構造計算時に作成するデータを活用した3次元での鉄筋納まり検討や、施工用の加工図作成などを簡単な操作で対応できるBIMソフトはなかったため、同社は2010年にソフト開発に着手した。
新ソフトでは、構造計算時に作成する鉄筋の径や本数などデータを使い、設計段階では柱と梁の接合部納まりを3次元モデルで確認できるようにした。施工段階では、工事担当者がコンクリート施工図を確認し、鉄筋納まり検討図の作成と鉄筋工事施工計画を容易に検討できるようになった。
さらに鉄筋工事協力会社の職長らは、システムを活用し、鉄筋1本ごとの継ぎ方や長さ、形状などを示した加工図と加工帳(集計表)を作成できるようになり、施工現場でも、データをタブレット端末やプリントアウトした図面で確認するようになった。
このソフトの稼働で、データ入力の間違いによる手戻りを防ぐことができ、鉄筋工事の納まり検討、加工図の作成などの業務効率化を実現した。3次元で可視化できるようになったため、設計者と施工者の合意形成もスピードアップ。品質も向上できたという。今後、全国の同社設計・施工案件で本格的に適用していく。
技能者が不足する中、同社では鉄筋工事協力会社と連携しソフト開発を推進し、さらに生産性の向上を目指す。将来的には、CAM(コンピューター支援製造)による自動加工への展開や設計監理者の検査業務への活用、鉄筋工事BIMソフトと設備BIMソフトと連携した梁貫通スリーブ位置の検討も視野に入れて研究を進める方針だ。
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