2015年10月27日火曜日

【地域支える仕事だよ】戦略的広報推進協、さいたま市内の小学校でキャラバン

模型を使い土砂災害を再現する藤井氏
 建設産業の社会的役割を工業高校以外の生徒・児童たちにも広く知ってもらおうと、官民協働の新たな試み(小中学校キャラバン)が始動した。国土交通省が建設業団体などと組織する建設産業戦略的広報推進協議会は26日、小学生向けの初の体験学習をさいたま市岩槻区の市立新和小学校で行った。6年生27人が参加。9月の関東・東北豪雨の体験談を聞いた児童からは「被災地に出動した建設業関係者はどれくらいですか」と、地域を縁の下で支える大人の仕事に関心を寄せる声が上がった。

 体験学習では、官民それぞれの立場で建設業に携わる専門家が小中学校に直接赴き、授業を実施する。建設業が地域の安全・安心の確保などにどう貢献しているのかを間近で伝えるのが狙いだ。

子どもたちから質問を受ける松縄氏
 この日、「建設業では、どんな人たちが働いているか」をテーマに授業を行ったのは、建設業振興基金経営基盤整備支援センター人材育成支援課の松縄修主任。松縄氏は、建設会社はものをつくるだけでなく、降雪時には道路の除雪作業に従事することなども伝えた。

 土木学会を代表して講師を務めた藤井俊逸藤井基礎設計事務所専務は「今回の体験学習で得た知識を家族や友人にも伝え、土砂災害に対する正しい知識を広めてもらいたい」と強調。土砂崩れの種類や発生メカニズム、その対策工法の考え方などを模型実験を通じて丁寧に説明していた。

 児童たちは、今年の修学旅行で栃木県日光市へ行った経験を基に、途中で通った高速道路や、山間部にあった砂防堰堤などの役割について、自分なりの考えも発表した。国交省関東地方整備局建政部の下岡壽建設産業調整官は「自分たちが住んでいる地域にどんなものがあるのかをよく観察し、その役割を考えるきっかけにしてください」と呼び掛けた。

 31日には、同市見沼区の市立春里中学校で同様のキャラバンが開かれる。小学生以上に将来の職業に対する関心が強い中学生に、どれだけ建設業の魅力を伝えられるか、関係者は工夫を思案している。

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