2015年10月22日木曜日

【現場探訪】JR東北本線宮城野こ線橋改築西工区(施工=鉄建・安藤ハザマJV)

構台の上で組み立て、送り出しを待つ跨線橋の桁
 JR仙台駅の北側に位置し、新幹線(高架)と在来線(地上)の間を通る「宮城野跨(こ)線橋」(仙台市青葉区~宮城野区)。通称「X橋」と呼ばれ、市民に親しまれてきた橋の架け替え工事が進んでいる。21日未明、線路上空に架かる上り線の橋桁を、西側(青葉区)から東側(宮城野区)に送り出す作業を実施。入念な準備と綿密な計画によって作業はスムーズに進み、予定時間よりも早い到達を実現した。

 ◇線路上空で橋桁送り出し◇

 工事名は「東北本線仙台駅構内宮城野こ線橋改築西工区」(工期11年6月30日~16年5月31日)。片側1車線の道路橋を、片側3車線と歩道の上下線に分かれた橋梁に架け替える事業だ。西工区では、線路上空にある旧桁を撤去し、合成床版(コンクリート・鋼)の新桁を架設。桁を送り出す発進点となる線路近傍の橋脚(西側)も施工する。事業者は仙台市で、工事の発注・管理・監督はJR東日本東北工事事務所、施工は鉄建・安藤ハザマJVが担当している。

 線路をまたぐ工事のため、線路を閉鎖し、き電を停止している時間内での着実な施工が要求される現場だ。現在は下り線の道路切り替えを終え、上り線の橋桁架設工事を行っている。

 中でも工事の山場となるのが橋桁の送り出し。本桁(長さ38・5メートル、幅17・15メートル)は250トンの重さがあり、線路をまたぐ支間長37・5メートルを片持ち状態で送り出すことができない。そこで、「手延べ機による送り出し工法」を採用した。本桁の先端に軽量な手延べ機を取り付け、線路上空に送り出して到達させる工法だ。

 西側ヤードに桁組み立て構台や自走台車などを設けた上、「本桁(38・5メートル)・連結構(6メートル)・手延べ機(24メートル)」を組み立てた。本桁後方の一部が供用している下り線に近接するため、この部分の桁材(鋼材)を外し、カウンターウエート(つり合いを取るための重り)を載せた。

橋桁は新幹線と在来線の間を縫って送り出された
 21日の送り出し作業は、線路閉鎖、き電停止を完了した後、午前1時43分に手延べ機付きの本桁が西側の橋脚部を発進した。4基のモーターで慎重に動かしながら、高架の新幹線と地上の在来線との間(約8メートル)を通過。2時8分に東側の橋脚部に手延べ機の先端が到達した。計画では1時45分~2時15分の30分での到達を予定していたが、下り線の送り出し作業を踏まえた事前準備の徹底が奏功。予定時間を5分短縮して無事に到達させた。

手延べ機の先端が橋脚に到着した様子
 送り出し作業を終えた宮城野橋作業所の高橋雅治所長(鉄建)は「いろいろと準備し、計画通り一つ一つきちんと進んだ。時間内に余裕を持って終えることができた。ほっとした」と胸をなで下ろした。

 現場では今後、本桁を橋脚まで送り出したり、所定の位置にジャッキダウンしたりして新桁を架設。コンクリートを打設して合成床版を築造する。

 高橋所長は「本桁のジャッキダウンや冬場のコンクリート打設など難しい工程が続く。無事故・無災害で良い品質のものを提供する」と表情を引き締めた。

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