2015年10月30日金曜日

【バージョンアップでますます便利に】国交省、ETC2・0普及に本腰/東京モーターショーで来場者に積極PR

東京モーターショーの「ETC2・0 PRブース」=東京・有明の東京ビッグサイト
 国土交通省は30日から一般公開される第44回東京モーターショー2015(主催・日本自動車工業会)で、ノンストップ料金収受システム(ETC)の新バージョン「ETC2・0」の普及に向けたPRを本格化する。社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の道路分科会国土幹線道路部会が7月30日に中間答申した「高速道路を中心とした『道路を賢く使う取組み』」に基づき、その必需品となるETC2・0を来場者にPRする。東京モーターショーは11月8日まで、東京・有明の東京国際展示場(ビッグサイト)で開かれる。

 従来のETCが高速道路の料金収受を主目的としていたのに対し、ETC2・0は高速道路上に設置されたITSスポットと双方向に信号を送受信し、高速道路以外も含めた利用経路・時間・速度・加減速データの把握といった情報をやり取りする。ETC2・0をベースに同省が目指すのは、中間答申の表題にも明記した「道路を賢く使う」。渋滞路を迂回して走行したドライバーを優遇するサービスや、商用車の運行管理支援なども展開する考えだ。

経路情報を活用したサービスのイメージ図
ITSスポットの双方向通信機能はさまざまなサービスを生む可能瀬がある
ETC総合情報ポータルサイトより)
 たとえば、同一起終点区間に首都高速道路経由と、東京外郭環状道路経由の2ルートがある場合、都心を抜ける首都高ルートの方が料金は割安になっている。同省担当者は「ETC2・0は走行履歴からルートが把握できるので、混雑する都心ルートを走行しなくても、都心ルートと同じ料金に下げることもできる」と、混雑緩和に協力した場合の優遇措置に活用するという。

 将来的には政策的な料金体系として、「混雑しないルートの料金を引き下げることにつなげることも可能だ」(同)という。また同省のまとめでは、高速道路上で100キロ以上にわたってガソリンスタンドのない区間が全国で83カ所以上あるという。ETC2・0を使えば、給油のためにいったんに高速道路をおり、ガソリンスタンドを利用してもらって再び高速道路に戻っても料金が高くならない仕組みも可能だ。



「渋滞回避支援サービス」では、交通渋滞のリアルタイム情報を
使い、渋滞回避の最適ルートが選択できるようになる
(簡易図形㊤と静止画のイメージ、ETC総合情報ポータルサイトより)
 このほか渋滞回避(広域かつ高精度な渋滞情報)、安全運転(落下物や渋滞末尾、前方の気象事象)、災害時(通行止め時の適切な情報提供)といった情報をドライバーに適宜に提供するサービスもできるという。

 従来はDSRC(専用狭域通信)と呼ばれる通信技術で高速道路の料金収受システムを行っていたが、ことし8月から「ETC2・0」という名称の使用を開始。知名度アップを図るとともに、システムの普及を目指す。ただ、ETC2・0は従来のETCカード読み取り装置(車載器)を交換する必要するがある。価格は2~4万円と、従来のETC車載器の数千円と比べると高価だ。ETC2・0のデータを画面で表示させるには、カーナビゲーションシステムも対応させなければならない。古いナビゲーションシステムの場合、音声だけの案内になるという。

 ETC2・0の設置車両は今ところ60万台と、自動車保有台数の0・7%程度。同省では、「ETCも、休日上限1000円のような割引制度をきっかけに飛躍的に普及した」(同)と振り返るとともに、「価格が下がれば、普及も進む」(同)とし、自動車に関心の高い来場者が集まる東京モーターショーでの浸透に期待を寄せる。

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