2015年10月23日金曜日

【回転窓】何をする1億総活躍相


 取材先で、第3次安倍改造内閣で新設された「1億総活躍担当大臣」は何をするのかと問われ、答えに窮した▼加藤勝信担当相も就任時、「具体策は走りながら固める」と話していたが、検討課題に挙げた項目は、子育て支援の充実、地方活性化、女性の活躍促進など。厚生労働相、地方創生相、女性活躍相と役割が重複し、身内の与党からも疑問が出ている▼「1億総活躍社会づくりは最初から設計図があるような簡単な課題ではない」とは発案した安倍晋三首相。今月末に設置する国民会議に具体策の検討を委ね、年明けに報告を求めるそうだ。議論を任される民間委員も戸惑っているのではないか▼最初に示される条件があいまいでは、無駄な手間や時間ばかりかかって良いものができないのは、建設工事でも同じである。発注者は、設計者や施工者に対して条件をきっちりと明示することが欠かせない▼国の先行きを左右する重大事としながら、何を行うか不明瞭なまま民間に丸投げし、検討期間がわずか2カ月とは。一強多弱、党内にも批判勢力がない中で、政権運営のたがが緩んできたようにも見えるが。

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