2015年12月2日水曜日

【回転窓】不思議な二つの銘板

 仕事柄もあって、建物や構造物に付けてある銘板によく目が留まる。先日は関東のとある海岸で不思議な二つの銘板を見付けた▼双方の銘板は護岸構造物の切れ目を挟むように並べて設置してある。いずれも記された竣工年は1970年代。よく見ると、一つの銘板に〈施行主体〉〈施行者〉と書かれているのに対し、翌年に竣工したもう一つの銘板には〈施工主体〉〈施工者〉とある▼〈施行〉と〈施工〉をあえて使い分けたのかどうかは不明だが、竣工年が連なる二つの銘板の文字がなぜ違うのか。発注者名だけでなく施工会社名も同じだけに、謎は深まるばかりだ▼構造物などに付けられた銘板は、一般市民がその生い立ちや役割に触れられる貴重な情報源といえよう。09年5月に土木学会は、08年度土木学会会長提言特別委員会(委員長・栢原英郎会長)がまとめた報告書で、構造物・プロジェクトの名称や目的、事業主体とともに、設計、施工会社名や実質的な責任技術者名などを銘板に記して設置するよう提言している▼海岸で見付けた銘板の謎は解けていないが、あれこれと想像を巡らせるのも楽しい。


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