◇需要変動対応ライン構築◇
TOTOの子会社で温水洗浄便座「ウォシュレット」の研究開発や製造を手掛けるTOTOウォシュレットテクノ(北九州市小倉南区、堀本幹夫社長)。土岐工場(岐阜県土岐市)と茨城工場(茨城県桜川市)に製造拠点を構え、それぞれ西日本と東日本への供給を担う。
土岐工場では需要に応じて生産量を変えられるシステムを8月にすべての製造ラインに導入。通常時の4割増の生産まで対応できるようにした。QRコードを利用した製品管理でトレーサビリティー(追跡可能性)を確保している。
土岐工場の所在地は、土岐市泉町大富北山1916の165。従業員は410人(12月現在)。ウォシュレットの主力工場で、部品を生産する「成形棟」と、商品を組み立てる「組立棟」で構成している。成形棟では大型外郭成形品を内製化し、組み立て工程に最短供給できる。組立棟では、1階で主力商品、2階で補修部品や旧型商品をそれぞれ生産している。
ウォシュレットの生産方式は、1980~90年代が大量生産に適した大型自動化ライン、2000年代に入って多品種少量生産を行う小型組み立てラインに進化。10年代には多品種大量(混流)生産に適するフレキシブル組み立てラインへと移り変わってきた。
TOTOウォシュレットテクノは、すべてのウォシュレットに使用できる共通エンジン(半製品)を基盤としたプラットフォーム設計を10年に採用した。
藏本維丈工場長は「従来は同じ性能、機能でも、それぞれの製品に合わせた開発や設計を行い、製品ごとに細かく製造していた。プラットフォーム設計によって生産工程が大きく変化した」と説明する。
プラットフォーム設計をさらに有効活用するため、需要変動対応(ODP)方式の生産ラインを構築した。通常時は共通エンジン部分の製造をラインの先頭で行い、順次、部品を組み立てていく。
一方、増産時は共通エンジンを海外の関連会社から調達し、組み立て工程に人員を集中して生産台数を増やす。これにより生産量が通常時の約40%増になるという。11年度から順次導入し、今年8月にすべての生産ラインでODP化が完了した。
◇増産時は組み立て工程に人員集中◇
同工場ではQRコード利用した製品管理も徹底している。部品の受け入れから保管、部品出庫、製品組み立て、出荷までの工程すべてを管理。さらにウォシュレット製品のシリアルナンバーと部品とをひも付けし、出荷先のデータとも結ぶ。これにより万が一、製品に不具合が発生した場合でも迅速な対応が可能となるほか、誤出荷の防止にもつながる。
ダイバーシティー(人材の多様化)活動に力を注いでいるのも同工場の特色だ。12年から毎年、特別支援学校の生徒を採用したり、工場学習の場としても受け入れを継続したりしている。
14年10月に開かれた「岐阜県障がい児・者の教育と福祉振興大会」では、県内600社のサポーター企業の中から「企業内作業学習」「特別支援学校卒業生雇用」で特に顕著な功績がある企業として表彰された。
地域住民向けの工場見学会も開催。「土岐工場を知っていただく」をテーマに14年度は566人が工場見学に訪れた。
このほか、工場夏祭りや同社製品をPRする工場リモデルフェアを実施するなど地域住民との交流を活発に行っている。
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