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2020年東京五輪に対する期待感やアベノミクスの効果で好調が続く東京都内の大型都市開発。この勢いは今後も持続しそうで、16年も数多くの大型建築プロジェクトが着工する予定だ。都内各地で、国家戦略特区に認定された都市開発プロジェクトの建設工事が本格化するほか、東京五輪に間に合わせることを前提にした宿泊施設や医療施設の建て替え事業の着工も相次ぐ見通し。代表的なプロジェクトを紹介しながら、16年の民間建築市場を展望する。
大手町一丁目2地区開発の完成イメージ |
国家戦略特区の認定事業に求められているのは、外国人を日本に呼び込むための国際基準のビジネス環境や住環境の整備だ。政府が進めているインバウンド(訪日外国人)施策に呼応するように、大型オフィスビルを計画している大手町一丁目2地区と虎ノ門四丁目では、ビルの高層階に宿泊機能(ホテルやサービスアパートメント)を導入する計画だ。愛宕山周辺では、高さ220メートルの超高層マンションに、分譲から賃貸、サービスアパートメントまで多種多様なニーズに対応する住機能を盛り込む。
東京五輪までに完成させることを至上命令としたプロジェクトも続々と動きだす。
ホテルオークラ東京本館建替の完成イメージ |
五輪開催中に選手などの治療に当たる「オリンピック病院」に指定されているのが国家公務員共済組合連合会(KKR)虎の門病院(港区)。同病院では建て替えに向けて既存建物の解体工事を推進中だ。
東京医科大学新大学病院の完成イメージ |
このように不動産市場は活況を呈しているが、建築コストの高止まりが懸念材料として残っていることも確かだ。
東京団地冷蔵再整備の完成イメージ |
当初は15年3月に本体着工する予定だった春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発事業(文京区)は、事業費が急激に増えたことによって権利変換計画の策定に手間取ったため、着工時期を16年3月に延期した。
◇懸念材料はコスト上昇と人材不足か◇
今年4月に再開発組合が認可された白金一丁目東部北地区第一種市街地再開発事業(港区)では、順調に行けば16年10月に延べ約13・5万平方メートル規模の再開発ビルに着工する予定だったが、建築コストの抑制に向けて設計の見直し作業が必要となったため、事業スケジュールを2年弱遅らせる決断をした。
ここに来て資材費はやや落ち着いてきた感があるものの、慢性的な職人不足から人件費の動向は不透明で、工期遅延のリスクもいまだ抱える。長期間の検討を経てきた市街地再開発事業はまだしも、景気動向に左右されやすい中規模クラスの開発事業では着工の延期や凍結がさらに増える可能性もある。
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