「厳しいという言葉は使いたくない。これが“常態”なんだ」。22日に都内で開かれた清水建設相談役の故・野村哲也氏(元社長・会長)のお別れ会で生前の写真を眺めながらふと思い出した言葉だ▼野村さんは99年に社長に就任され、バブル崩壊後の厳しい時代に経営のかじ取りをされた。03年の新年のインタビュー時に「厳しい、厳しいと嘆いてもしょうがない。これが当たり前だと思えば前向きになれる」と答えていた▼激化する受注競争については「技術レベルで差がなければ、あとは顧客のニーズにどれだけ誠実に応えられるか。奇策なんかない。これを地道に愚直に追求するだけ」とも。強い信念を持ち、行動家で知られた野村さんらしい言葉だ▼今年も建設業の発展に尽くされた多くの方が鬼籍に入った。本日付最終面に、惜しまれつつ亡くなられた方のお名前を掲載した。駆け出し記者時代にお世話になった方もあり、残念でならない▼亡くなることを「ゆく(逝く)」という。その「ゆく」から出来た言葉に「ゆかしい」がある。年の瀬に今年逝かれた方々をゆかしく想い、あらためて手を合わせたい。
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