四国地方整備局が鹿野川ダム改造事業(愛媛県大洲市肱川町)の一環として建設を進めている洪水吐きトンネルが12日、工事関係者や一般の見学者約50人が見守る中、貫通した。
12年9月に掘削を開始して以来、地質が当初想定と異なったため掘削効率が低下するなどの難工事を克服しての喜びの貫通となった。
洪水吐きトンネルは、改造事業の中心となるもので、低い水位での放流能力を高めるためにダム右岸側に新設されている。
全面防水を施したコンクリート構造部と水圧鉄管部からなる延長457メートル。この構造による圧力トンネルで内径11・5メートルは国内最大規模。施工は清水建設・安藤ハザマJVが担当している。
トンネルの掘削は下流側から開始し、呑口立坑から14メートルの地点まで掘削。残る部分は立坑側から掘削を進めていた。この日は、残る1メートルの岩盤をブレーカーで掘削。切羽上部の岩盤が崩れて穴が開き、無事に貫通した。この瞬間を見届けた工事関係者や見学者は万歳三唱で貫通を祝った。
貫通後に西澤洋行四国整備局山鳥坂ダム工事事務所長は「貫通の瞬間を市民に見てもらうことができてよかった。一日も早い運用ができるように安全に気を付けて事業を進めていく」と語った。
芳岡良一JV所長は「着工以来、この日に向けて工事を進めてきたのでほっとしている。ただ通過点に過ぎないので一日も早い完成を目指して安全第一で工事を進めたい」と決意を述べた。
改造事業は、洪水調節機能を現在の1・4倍に増強するもので、総事業費487億円を投入し、18年度の完成を予定している。
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