2015年12月24日木曜日

【事業開始は来年4月】関空・伊丹コンセッション、契約内容公表

契約書を手に記念撮影に応じる(左から)新関空会社・安藤圭一社長、
関空エアポート・山谷社長とエマヌエル・ムノント副社長=12月15日、大阪府内で
新関西国際空港会社が、関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港の運営権売却で運営権者と交わした契約内容を公表した。

 オリックスや仏ヴァシン・エアポートなどが設立した特別目的会社(SPC)・関西エアポート(大阪市西区、山谷佳之社長)との契約期間は16年4月1日~60年3月31日の44年間。事業開始から2年間で両空港の基本・付帯施設に不具合が発生した場合、瑕疵(かし)担保責任として「1件5000万円以上」の場合に限り、新関空会社が補償する。

 運営権が引き渡される前に着手した工事は、関西エアポートに契約が継承され、工事業者に対する債務を関西エアポートが引き受ける。伊丹空港ターミナルビルの改修費用は、新関空会社が「自主財源による大規模改修事業」として一定範囲内で負担する。

 空港運営に関わる更新投資は、関西エアポートの判断と費用で実施する。ただし滑走路や誘導路の延長、エプロンの増設、空港施設の大規模変更など、国の関与が必要な案件は新関空会社の承認取得を義務付ける。滑走路の新設・除却、誘導路やエプロンの新設は事業範囲に含まれない。

 空港運営に伴うリスク分担を見ると、不可抗力で両空港に損害が生じた場合は、新関空会社と関西エアポートが協議し、契約の即時解除あるいは運営権者による機能回復を判断する。不可抗力に起因した損害の復旧費用は、火災などで350億円、放射能汚染で10億円を超えた部分を新関空会社が補償する。

 関空の地盤沈下のリスクに対応するため、関西エアポートは用地沈下の状況把握を実施するとともに、空港機能を維持するための長期的な対策工事計画を策定する。地下水対策、南海トラフなど巨大地震による津波対策も実施。地盤沈下の対応費は、累計沈下量が所定値を超えない範囲で関西エアポートが負担する。

 運営権譲渡の年間支払額は372億7500万円。履行保証金(1750億円)の金利効果や資産譲渡対価(314億円)を考慮すると、年間支払額は490億円に相当するという。

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