広島市は、被爆建物である広島大学旧理学部1号館(広島市中区千田町)について、劣化のため改修が必要なことを踏まえた保存・活用のアイデアを市民から募集する。
募集期間は16年1月15日まで。市は16年度に有識者や関係団体から意見聴取する場を設け、アイデアや意見を参考にして保存・活用方針をまとめる。
旧理学部1号館のエリアを含む広島大学本部跡地では、06年に広島地域大学長有志懇談会から提案のあった「ひろしまの『知の拠点』再生プロジェクト」に基づいた活用が進められている。
旧理学部1号館は、広島大学東千田キャンパスとともに「知の拠点の核となるゾーン」に位置付けられ、「被爆建物である旧理学部1号館を活用しつつ、新たな時代に向けて『知の継承』を図る」とされている。
しかし、建物は劣化が進み、耐震診断でも「地震の震動や衝撃に対して倒壊、または崩壊する危険が高い」と判断されている。そのため、被爆建物であること、劣化のための改修が必要なことなどを踏まえ、知の拠点全体の機能が高まるような保存・活用の方針を取りまとめる。
旧理学部1号館はRC造3階建て延べ約8500平方メートル。耐震対策や内外装などの工事を行った場合の概算改修費の試算によると、全体保全した場合は40億6000万円、約6900平方メートルを保存した場合で33億4000万円、約5200平方メートルを保存した場合は26億円、約3500平方メートルを保存した場合は18億5000万円と、新築するよりも費用がかかるとしている。
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