大林組と電通国際情報サービスが、建物の利用者を快適な空間に個別に誘導するアプリを共同で開発した。
利用者の空間へのニーズを生理状態や環境条件などからリアルタイムに評価し、利用者に最適な空間での過ごし方を提案できるという。
大阪市北区の大型複合施設「グランフロント大阪」でデジタルサイネージ端末(電子看板)を使った実証実験を開始した。一般利用者を対象に、屋内から屋外へ誘導する実験を断続的に秋まで行っていく。
開発した個別誘導アプリは、独自ロジック「快適感向上エンジン」を組み込んだ。利用者の位置情報に加え、▽環境情報▽生体情報▽ソーシャルデータの三つの要素から各利用者の「快適感指標」を算出し、快適感をより向上させる屋外空間と過ごし方を導き出す。三つの要素を解析して独自の快適感指標を算出する手法は世界で初という。
実証実験のフィールドに選んだグランフロント大阪は充実した屋外空間を備えた建物で、アプリを搭載したデジタルサイネージを設置した。
サイネージ端末のカメラが利用者の心拍数などの生態情報を自動で計測。屋外設置の気象ステーションから気温、風速、日射量などの環境情報を取得する。利用者がソーシャルデータとなる同行者との関係性(友人、恋人、家族など)をサイネージ端末へ入力することで、アプリ内の解析ロジックが利用者にとって快適な場所と過ごし方を個別に解析・提示する。
キャラクターによる対話形式で、楽しみながらの使用が可能。利用者が推薦された屋外区間へ移動した後の快適感の向上を、移動後の生体情報や利用者からのアンケートを基に定期的に評価し、解析ロジックにフィードバックすることで、指標算出の補正もできる。
心身ともに社会生活で積極的な健康を目指すウェルネス志向の都市生活が注目される中、屋内外空間の快適性について、外的環境に加え、利用者の心理状況や生体情報など内的要因も含め総合的に評価するニーズが高まっている。特に屋外空間の快適性評価は、気温など気象条件を基に算出された客観的指標を用いて行うのが一般的で、利用者側の状況を個別に反映していないことや、ウェルネスの観点からも快適に利用しきれていないことが課題とされる。
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