医薬品などの研究開発・製造技術国際展「インターフェックスジャパン」が、東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕し、ゼネコンでは大成建設、清水建設、竹中工務店、前田建設がそれぞれ出展した。各社とも、特に再生医療関連を有望市場に位置付けており、菌の封じ込め・漏えい防止技術や除染技術などをアピールした。展示会は7月1日まで開かれている。
展示会で、大成建設は固形製剤やバイオ医薬品取り扱うメーカー向けにパネルで技術・実績を紹介し、再生医療関連としては、無菌製剤施設向けに導入した技術を展示。
再生医療の現場では、無菌室レベルの高い基準が必ずしも求められるわけではないが、無菌環境と高度な封じ込め機能を両立する「アイソレーション技術」や、さまざまな薬剤と空調を組み込んだ「室内除染システム」など多岐にわたる技術を保有していることをアピールしている。
清水建設は、再生医療向け施設への取り組みとして、柔軟性と低コストを両立した細胞調整施設の構築技術を紹介している。
施設構築に当たっては、技術研究所内の研究メンバーに医学系や生物工学系を配置して実際に培養実験を実施するなど、ユーザー目線での技術提案が行えることを強みの一つにしている。
竹中工務店は、千葉県印西市の技術研究所内に整備した「バイオクリーン・バイオセーフティ実験施設」の20分の1の模型を展示した。
再生医療やバイオ医薬品、感染症対策といった施設の整備に向け、気密性や空調設備などの安全性を確保する技術を評価・検証するための施設。模型で実際の設備機器や配管類の配置、人の動線などを詳しく知ることができるのが特徴だ。
前田建設は、これまで培ってきた製薬関連施設の新築・改修事例を紹介している。
再生医療に特化した技術展示はないが、「将来、市場が醸成される時に向けて研究開発を進めている」(担当者)とし、施設の新築や改修で下地づくりを行うという。
特に改修では、施設を稼働させながら施工する「止めないリニューアル」など、ユーザーの利便性に配慮した提案を行っている。
再生医療は、細胞や組織が持つ再生能力を活用し、損傷した組織や臓器を正常な状態に回復することで治癒に導く医療技術。国内では、製薬会社などで構成する再生医療イノベーションフォーラム(FIRM、戸田雄三会長)が産業化に向けて検討を進めているが、建物や施設の基準など詳細は決まっていない。
経済産業省が算出した再生医療周辺産業についての将来市場規模予測によると、12年が170億円だったのに対し、2020年には950億円、2030年には5500億円、2050年には1・3兆円にまで拡大する見通しだ。すべてが建設関連投資というわけではないが、建設業界にとって将来的に大きな市場として成長するのは間違いない。
さらに、2020年東京五輪に備え、感染症対策の施設整備が進むとみられており、再生医療とも親和性の高い菌の封じ込めや漏えい防止といった関連技術の開発がゼネコン各社の間でも進むとみられる。
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