2016年6月13日月曜日

【駆け出しのころ】不動テトラ取締役常務執行役員土木事業本部長・白川英二氏

 ◇迷った時は厳しい方を選ぶ◇

 1970年代に文化放送で放送されたラジオ番組の「こんばんは、落合恵子です」は当時、すごい人気でした。この番組の最後に流れる不動建設(現不動テトラ)のCMは、社員の平均年齢が二十数歳という若さをPRする内容のものだったんです。これがとても印象的で、学校の先生に「どのような会社ですか」と質問すると、何人かの先輩が入社して働かれていることや、その年も学校に求人案内が来ていることを教えていただきました。

 そうして入社し、最初は愛知県内の石油備蓄タンク建設工事を担当します。配属されて間もないころ、先輩から測量のトランシットを1分以内に据え付けるよう言われたのですが、新人の私はこれがなかなかできません。速くやろうと思うほど焦ってしまい、高価なトランシットを落としてしまったこともあります。

 これは何とかしなければならないと、昼休みを利用して毎日練習していたら、3週間ほどたってようやくできるようになりました。この時に先輩から初めて褒めてもらえたのを覚えています。それからは測量が好きになりましたから、最初に厳しく指導されたのは正解だったと思います。

 入社して数年たち、大型水路の建設工事に携わりました。ここでは、決められた通水の日までに何としても工事を終わらせなければならず、工程の厳しさを教えられました。それだけに水路が完成し、水が一気に流れていくのを見た時はものすごく気持ちが良かったものです。

 続いてフェンスの設置工事などを実施したのですが、休みの日に水が流れる水路で先輩と一緒に泳いだのもいい思い出です。でも、泳いでいる私の横を大きな蛇が追い越していったのには肝を冷やしました。

 この水路は地元の方々から喜ばれ、工事中に採れ立ての柿やミカンなどをよく頂きました。自分たちの仕事が地域に役立っている。そう実感できる現場でもありました。

 後輩や部下にはこれまで、コミュニケーションの大切さを言ってきたつもりです。コミュニケーションは多過ぎるぐらいがちょうどいいんです。現場でコミュニケーションがうまくいっているかどうかは利益にも表れます。かつて現場所長には技術力や管理力が求められましたが、今はこれらに加えて交渉力や提案力、コミュニケーション力が欠かせなくなっています。

 何かの壁に当たった時は、一つ上の立場になって考えると、そう間違いはありません。それと迷った時は、自分に厳しい、難しい方を選択する。そうやって苦労した分のものは自分にプラスとなって返ってきます。

新人時代に現場事務所で。
平均年齢が20歳代という若い社員の多い会社だった
 (しらかわ・えいじ)1972年徳島県立貞光工業高(土木)卒、不動建設(現不動テトラ)入社。中部支店営業部長、中部支店副支店長、執行役員中部支店長、常務執行役員土木事業本部長などを経て14年から現職。徳島県出身、62歳。

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