5~6月は各地で団体の総会が真っ盛り。人が入れ替わる時期でもある。かつて取材でお世話になった団体の方が先日退任された。担当記者時代、用事もないのに顔を出すと、よく雑談の相手をしてくれたことを思い出す▼何気ない立ち話の中に取材のヒントがあることも少なくなく、ネタ枯れの時に何度も助けられた。転勤先から戻ってきた際、自分の結婚話をすると、満面の笑みで喜んでくれた▼特に印象に残っているのは、病気で亡くなった元上司についての話。随分前にその団体を担当していて、記事をめぐってもめたこともあったという。迷惑をかけただろうが、「記者らしい記者だから好きだった。残念だ」と▼自らの組織や業界を大事に思っているからこそ、真剣に向き合う厳しさが必要。「報道機関は、耳の痛いこともしっかりと書くべきだ」と話していた▼新聞記事は、どうしてもトップに焦点を当てることが多い。決定権を持つ人物に注目することは当然だが、縁の下を長年支える人もいるから組織は成り立つ。引退された方の人生のさらなる充実と、引き継いだ方たちの活躍を願ってやまない。
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