◇違いを認め特性生かした働き方を◇
東海北陸自動車道白鳥インターチェンジ(IC)~飛騨清見IC間の4車線化事業に伴う「三尾河(みおご)トンネル建設工事」に従事する水野香織さん。シビルエンジニアという言葉の響きと、ものづくりに憧れ、土木の道に進んだ。
名古屋市内にある中・高一貫の女子校で学んだ後、東京都立大学(現・首都大学東京)工学部土木工学科へ。同大卒業後、98年3月に名古屋大学大学院地圏環境工学研究科を修了し、フジタに入社した。
フジタでは2人目の女性土木技術者。土木技術者女性の会中部支部長も務める。
高校卒業時に担当教師から「わが校から土木に進んだ子はいない」と言われ、「ならば私が」と発奮し、土木の世界へ。6年間を女子だけの環境で過ごし、その後6年間は共学を経験した。「男だから、女だからという考え方はない。性格はあまのじゃくで、子どもの頃から勝ち気な子だった」と冷静に自己分析する。
「土木は、私たちの暮らしを支えており、やりがいのある仕事だ」と学生時代の友人に土木の果たす役割や仕事の誇りを伝えている。
入社早々に、東京都内のポンプ場の現場で活躍。トンネル工事は今回が初めて。工事は延長約880メートルのトンネル本体と前後の明かり部分の橋梁下部工事。進ちょく率は約50%。工事完了まであと8カ月となっている。工務主任として役所への提出書類の作成や現場管理に多忙な日々を送る。安全帽に安全帯、作業服姿に長年のキャリアがにじむ。幸いに会社や上司の理解もあり、現場宿舎には専用のトイレと浴室が確保されている。国や業界団体が女性の活躍を支援している。
「女性が働きやすい職場環境は、男性にとっても同じこと。長時間労働の軽減や休日の安定確保が女性や若者の入職促進に欠かせない」ことを強調する。女性が社会で活躍する上で結婚や出産、育児は、壁になることが多い。「出産や育児で仕事を中断(休職)することはハンデではなく、『ライフキャリア』の一つ」と語り、特性を生かした働き方の大切さを訴える。
近い将来に「女性が現場で働くことが珍しくない業界になってほしい」。
(三尾河トンネル作業所工務主任、みずの・かおり)
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