2016年6月13日月曜日

【回転窓】駅舎への愛着

JR東日本が先週、2020年東京五輪の開催に備えた都内の駅の改良計画を発表した。原宿、千駄ケ谷、信濃町の3駅を対象に総工費250億円をかけて駅舎の新築やホームの増設などを進めるという▼中でも特に注目を集めているのが、原宿駅での橋上駅舎の新築。計画の発表後、ネットなどには早速、今の駅舎は取り壊されてしまうのかと心配する声や保存・活用を求める声が上がった▼現在の駅舎は1924(大正13)年竣工の木造建築で、都内に現存する最古の木造駅舎という。白壁の2階建てに尖塔の付いたデザインは周囲の景観によく溶け込んでいる▼都会でも田舎でも、駅舎に愛着を抱く人は多いだろう。自分の街の中心やシンボルだったり、青春時代の思い出が染み込んでいたり…。人の行き交う場所ならではのドラマがそれぞれの駅舎にはある▼昔からたくさんの若者が集まる原宿である。さまざまな思いをあのレトロな駅舎に重ねる人は少なくなかろう。JR東は「既存駅舎をどうするかは地元などの意見を聞きながら検討する」という。大切な街の記憶を無為に消さぬよう、熟慮を望みたい。

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