小田急電鉄が小田急線東北沢~世田谷代田駅付近間(世田谷区、延長1・6キロ)で進めている複々線化事業の工事現場を報道機関に公開した。
連続立体交差事業を兼ねて整備した急行線トンネル(下北沢駅付近の深さ約20メートル)が13年3月に運行を開始して以降、同トンネルの上部で緩行線トンネル(同約10メートル)の構築工事が進んでいる。
施工は大成建設・前田建設・西松建設・錢高組・三井住友建設JVが担当。17年度の複々線の完成を目指している。
緩行線トンネルは、小田急線の地上線路跡地を活用し、開削工法で構築中。現時点の工事進ちょく率は、下北沢駅を境に新宿方面が56%(掘削率78%)、小田原方面が79%(同100%)に達している。京王井の頭線との交差部では、同線の高架橋を受け替えながら掘削作業を進めている。
工事場所の直下では小田急線も運行中。小田急電鉄の工事担当者は「掘削することによる(急行線の)シールドトンネルの変形を想定している。そのため、トンネルと線路の変位をリアルタイムで計測しながら慎重に工事を行っている」という。
下北沢駅部では、駅舎の新設工事も本格化している。新駅舎は地下3階地上2階建て。ガラス張りの開放的な空間となる予定で、2階部分には商業テナントを入れる。エスカレーター・エレベーターの一部は既に稼働を開始している。
東北沢、世田谷代田両駅の新駅舎は、本年度中に完成する見込み。17年度の複々線完成後、18年度には京王井の頭線の高架橋架け替え工事と下北沢駅の駅舎新設工事も完了する予定だ。
小田急電鉄は、複々線化が混雑緩和につながるとみている。現在、ラッシュ時の運行本数は1時間当たり27本だが、複々線になれば36本に増発でき、世田谷代田駅~下北沢駅間の平均混雑率は現在の189%から160%程度に緩和されると試算している。
所要時間の短縮効果も大きい。町田駅から新宿駅までの所要時間は現状から10分短縮できる。東京都心部への通勤需要が年々増していることから、東京メトロ千代田線への直通列車を倍以上に増やすことも計画している。
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