2016年6月7日火曜日

【早期の復旧・復興目指して】熊本県有識者会議が基金創設提案

会見する五百旗頭座長㊨と蒲島知事
 熊本県が設置した「くまもと復旧・復興有識者会議」(座長・五百旗頭真熊本県立大学理事長)が熊本市の県庁で会議を開き、創造的な復興に向けた提言について議論した。会議後に会見した五百旗頭座長は中長期的に地元主体で復興に取り組むための基金創設の必要性を指摘。公共施設の「耐災性」確保や義援金の一部を住宅の耐震判定に充てることなども提案した。

 会議は5月にまとめた緊急提言を踏まえて議論。終了後の会見で議論のポイントを説明した五百旗頭座長は、復興の財源に言及し「(復興のメニューが)国のスキームにない場合、基金が重要になる」と指摘。新潟県中越地震を例に挙げ「多面的な使い方ができ、自由度が高い」と復興基金の有用性を指摘し、熊本地震でも同様の措置が必要と強調した。

 復興基金に関し蒲島郁夫知事は「現段階では予備費をいかに大切に復旧・復興に役立てるように使うかに集中しているが、いずれその(活用が必要となる)時期が来ると思っている」と述べた。

 今回の地震で庁舎や病院などの公共施設が被災したことについて五百旗頭座長はこれらの施設が「脆弱(ぜいじゃく)であってはならないことを社会に発信しないといけない」とした上で、「自家発電機を上層階に設けるなどの『耐災性』を備えたレジリエンスのある公共機関でなければならない」と強調。

 住宅被害に関しては現段階では倒壊していなくとも基礎部分が被害を受けており今後の地震により倒壊する可能性を指摘し、「義援金の一部を耐震判定の費用に出してはどうか」と提案した。

 交通ネットワークの復旧・復興では災害の度に国道57号が寸断されないよう「地盤のしっかりした所をトンネルで抜ける」ことなどにより東西軸を強化し、阿蘇地域全体の振興を図ることを提案。熊本城の復旧ではその過程を見せ、一口城主などの寄付を受け付け多くの国民に「ストーリーに参加してもらってはどうか」と述べた。

 建設が進む応急仮設住宅については「従来より一歩進んだと言える」と評価。大きな被害を受けた益城町の復興計画では町だけにとどまらず「熊本都市圏東部地域の中長期的なグランドデザイン」を県や自治体、住民が緊密に協議し、まとめていくことが望ましいとした。防災教育の必要性もあらためて強調した。

 同会議では議論の成果を1~2週間以内に正式な提言としてまとめ、県に提出する予定。県では提言を踏まえ、早急に復興計画をまとめる。

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