2016年6月23日木曜日

【回転窓】予断許さぬ英国民投票

英国できょう、欧州連合(EU)への残留か離脱かを問う国民投票が行われる。壮大な社会実験とも言えるEUの枠組みが、今回の投票結果によっては大きく揺れることになる▼世界経済への影響はもちろんのこと、これからの国際社会の進む道という意味でも、大きな転換点となりかねない。争点の一つが移民問題。労働力が増加して社会を支えるという見方と、公共サービスの圧迫や治安悪化につながるという認識の両方がある▼域内の移動の自由に関しても、経済発展に力となる一方で、テロ対策を困難にしているとの指摘があるのも事実。グローバル化が進む中で、メリットとリスクが複雑に絡み合う様相がより強まっているともいえよう▼報道によると、直近の世論調査でも残留派と離脱派が拮抗(きっこう)しており、予断を許さない状況だ。問題が難しいが故に、逆にイエスかノーかというような単純化した選択に委ねざるを得ない矛盾した状況があるようにも感じる。「選び切れない」というのが本音ではないか▼日本社会が抱える問題にも類似した構造があるだろう。じっくり考える大事な時期なのかもしれない。

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