2016年12月28日水曜日

【回転窓】書き入れ時に100万人割れ

この時期、子どもたちにとってはサンタクロースからのプレゼントやお年玉とうれしいイベントが続く。玩具メーカーは一年で一番の書き入れ時になるはずだが、少子化の進展が収益に影を落としているという▼子どもの数が減れば玩具の需要減は避けられない。購買意欲を喚起しようと、子育て中の親たちが幼少期に夢中になったアニメやキャラクターなどに再びスポットを当てるメーカーも。親子で楽しめる商品作りが営業戦略のトレンドの一つのようだ▼厚生労働省が先週公表した人口動態統計の年間推計によると、2016年生まれの子どもの数は、1899年の統計開始から初めて100万人を割り込む見通し。死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減が30万人を超すのも初めてだ▼少子化に歯止めが掛からず、人口減少が加速していく状況があらためて浮き彫りになった。結婚・出産・育児といった人の営みは国づくりの根幹。国の宝である子どもを産み、育てやすい環境を整備することが結果として産業・経済の発展につながる▼人口減で失う生産力確保のためにロボッ...

【用地取得や施工上の課題浮き彫りに】外環道都内区間、東京五輪までの開通断念

国土交通省関東地方整備局などは、建設中の東京外かく環状道路(外環道)都内区間(東京都練馬区~世田谷区)について、2020年東京五輪までの開通を事実上断念した。  本年度内に東名ジャンクション(JCT)から本線トンネルのシールド掘進を始めるめどが立ったものの、用地取得や施工上の課題が浮き彫りになっており、具体的な開通時期を見通すことは困難と判断した。  関東整備局と東京都、東日本、中日本の両高速道路会社が27日に事業連絡調整会議を開き、今後の見通しなどを報告した。  工事の進ちょくを見ると、東名JCTではシールドマシンの組み立てなどが順調に進展。本年度内に本線シールドが発進するとの見通しが明らかにされた。南行きと北行きが同時に掘進を開始する予定だ。  大泉JCTについては、シールドマシンの発進架台の構造について見直しが必要になる可能性が出てきた。砂れき層を想定していたが、発進立坑の近くで追加ボーリング調査を行ったところ、一部に砂層が確認され、地質が当初想定よりも弱いとの懸念...

【24年国体のメーン会場に】彦根総合運動公園第1種陸上競技場、基本設計発注

滋賀県は27日、「(仮称)彦根総合運動公園第1種陸上競技場建築基本設計業務委託」の委託先を決める簡易公募型プロポーザルを公告した。公募説明書などは17年1月13日までホームページで配布、参加表明書は同日まで県民生活部スポーツ課主会場整備係へ持参または簡易書留で受け付ける。同31日には現地見学会と説明会を開催する。技術提案書の提出期限は2月24日で、審査結果の通知は3月中旬を予定している。  事業は、24年に開催される国体・全国障害者スポーツ大会の主会場となる県立彦根総合運動場(彦根市松原町3028)に現在、第2種陸上競技場しかないことから、国体の施設基準を満たす第1種陸上競技場を備えた都市公園として再整備するのが目的。新築する陸上競技場については、陸上競技以外のさまざまな競技やイベントなどの実施を見据えた多目的競技場として整備することを計画している。  業務内容は、第1種陸上競技場の新築・電気設備・機械設備・外構に係る基本設計と景観に関する環境調査各一式で、施設規模は想定延べ...

【アマモメッセンジャー参上!】金沢小児童、関東整備局にアマモの種届ける

 横浜市立金沢小学校の児童たちがサンタクロースにふんし「アマモメッセンジャー」(アマモに東京湾再生へのメッセージを込める者)として関東地方整備局を訪問し、海で採集したアマモの種を届けた。  同小は、横浜市に残る唯一の自然海岸「野島干潟」に近いことから「金沢八景-東京湾アマモ場再生会議」と協力して野島海岸や横浜市金沢区海の公園などでアマモ場の再生活動に取り組んでいる。  自分たちで採集したアマモの種で「東京湾を海の生き物でいっぱいにしてほしい」との願いから毎年種を届けており、今年で10年目を迎えた。  種を受け取った関東整備局総務部の羽鳥修統括調整官は「貴重な種から皆さんの“海をきれいにしてほしい”という気持ちが伝わってくる。整備局は海をきれいにし、親しんでもらうため人工干潟や人工海岸を設置している。この種で素晴らしいアマモの森をつくりたい」とお礼を述べた。  関東整備局では、子どもたちが届けてくれたアマモの種を通じて人と海の自然なつながりを取り戻し、世界に誇れる「美しく豊かな...

【建設地は海の森公園】馬術クロスカントリーコースでアセス評価書案

東京都は、2020年東京五輪の馬術会場となる東京臨海部の仮設施設「海の森クロスカントリーコース」の環境影響評価書案を作成した。  評価書案の内容に対する意見は、17年1月29日まで都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部調整課で受け付ける。  都が新規造成を計画している「海の森公園」の敷地58・7ヘクタールを建設地として暫定活用する。整備は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が担う。  芝の競技コース(距離約6キロ、幅員約15メートル)のほか、選手や馬のウオームアップエリア(面積約5300平方メートル)を配置。五輪後の公園利用を見据え、コースの路盤には自然遷移が進みやすい素材を取り入れる。予定工期は16~20年度。  クロスカントリーコースの建設地南側を流れる水路にはボート・カヌー競技の会場(海の森水上競技場)が都によって別途建設される。...

2016年12月27日火曜日

【江戸城天守、現代に蘇る】東京国立博物館と凸版印刷、江戸城のVR作品制作

 東京国立博物館と凸版印刷は、現存しない江戸城天守を精密に再現したVR(バーチャルリアリティ)作品「江戸城の天守」を制作、来年1月4日から東京国立博物館の東洋館内にあるTNM&TOPPANNミュージアムシアターで公開する。  石垣や瓦、金具など江戸城を構成する100万以上の部材をデジタル化。史料や歴史考証を元に江戸城天守の姿を再現した。ミュージアムにある300インチの大型スクリーンに実寸大で映し出す映像では葵紋の金具に刻まれた葉脈、鯱の鱗を留めるための鋲も見ることができるという。再現に当たっては天守と同年代に建築された江戸幕府関連の社寺や城郭など、現存する文化財を丹念に取材。細部の意匠再現に役立てた。平成の大修理が進行中の日光東照宮・陽明門の工事現場、金具の製作現場も映像で紹介する。 (上から)寛永の天守全景、再現したかざり金具、天守の構造、金鯱 監修:東京国立博物館 制作:凸版印刷 江戸城天守は1657年の明暦の大火で焼失した。江戸幕府の重臣・保科正之が天守...

【会場変更にご注意を】建設業関係11団体、賀詞交歓会はグランドプリンスホテル新高輪で

 日本建設業連合会(日建連)や全国建設業協会(全建)など建設業関係11団体主催の「17年新春賀詞交歓会」は、17年1月5日に会場をグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区高輪3の13の1)の国際館パミール3階「北辰の間」に変更して行われる。  例年開催してきた東京プリンスホテル(東京都港区)が改修工事中のため。  事務局は「これまでの会場から変更となっており、参加を予定されている皆さまは十分ご注意下さい」と会場変更をアナウンスしている。  (写真は今年の賀詞交歓会であいさつする日建連・中村満義会...

【フルグラ増産へ新工場】カルビーが千歳工場増強工事着手

 カルビーが北海道千歳市にある千歳工場敷地内にシリアル食品「フルグラ」の新たな生産拠点となる新工場を建設している。設計・施工者は非公表。7月から工事を進めており、17年5月の竣工、8月の稼働開始を目指す。  工事費は約20億円を見込む。新工場の建設で朝食事業の強化やフルグラの北海道ブランドイメージの定着などを図る。  千歳工場の所在地は千歳市北信濃779の4(敷地面積3万1540平方メートル)。新工場はS造2階建て延べ2085平方メートルの規模。工場には、同社唯一のフルグラ生産拠点である清原工場(宇都宮市)から生産ラインを1ライン移設し、フルグラシリーズのうち主力商品である「800gフルグラ」を中心に生産する。新工場での年間総生産額は約40億円となる見込み。  新工場建設に伴い商品の北海道ブランドをより打ち出していくため、17年2月1日に工場名称を千歳工場から北海道工場に変更する。  同社では米食やパン食と並ぶ新たな朝食としてシリアル食品の市場規模が拡大することを予測。またフ...

【高さ248m、21年竣工予定】三菱地所、豪州で超高層ビル開発

サーキュラーキータワーの完成イメージ(右側の最も高いビル) 三菱地所は、オーストラリアのシドニー中心部のオフィスビル開発事業に参画する。同国の不動産・建設会社のレンドリース社、中国の不動産会社の平安不動産との共同事業として高さ248メートルの超高層ビルを建設する。設計会社を17年に決め、18年にレンドリース社の施工で着工する予定。21年の竣工を目指す。  開発事業の名称は「サーキュラーキータワー」。約4600平方メートルの敷地に、オフィスビル、商業施設棟、公共施設棟、広場を整備する。  三菱地所がオーストラリアに進出するのは初めて。先進国の中で、相対的に高い経済成長率が見込めるため、今後も事業機会を獲得していく考えだ。今回の開発事業には三菱地所アジア社を通じて事業参画する。出資比率は30%。...

【コンセッション方式導入へ始動】有明アリーナ、管理・運営で事業者ヒアリング実施へ

有明アリーナの完成イメージ提供:東京都、15年10月時点 東京都が2020年東京五輪のバレーボール会場などとして江東区有明に新設する「有明アリーナ」の管理・運営のあり方に関する事業者ヒアリングを、17年1月下旬から2月中旬まで実施する。コンセッション(公共施設等管理運営権)方式の導入を前提に専門的な意見を求める。参加申し込みを同1月20日まで受け付ける。  質問事項は▽施設の活用方策▽収益増加の方策▽追加投資の意向▽地域活性化の取り組み▽自由提案-の5項目。都はヒアリング結果を踏まえ、17年度にコンセッション方式の実施方針を定める。事業者の募集・選定・契約締結は18年度に行う。  有明アリーナは1万5000席の観客席を持つメインアリーナや、サブアリーナ、ジム・スタジオ、カフェ・レストランなどで構成する計画。総延べ床面積は4万5600平方メートルを想定している。...

【インフラドクター、海外展開本格化】首都高速会社、タイで高度管理システム構築へ

MMSを使いバンコク市内の高速道路で実施したデータ収集の様子 3D点群データで視覚化した道路構造物 首都高速道路会社が道路インフラの維持管理業務を高度に管理・支援するシステム「インフラドクター」の海外展開に本格着手した。タイの高速道路公社(EXAT)が管理する道路構造物を対象に3次元(3D)の点群データを11~12月に計測・収集した。技術協力先の大学やEXATなど現地の官学関係機関と協力・連携し、現地の環境・ニーズに適した簡易システムの構築に取り組む。 続きはH...

【回転窓】「鉄道復権」の陰で

30年以上前の学生時代、国鉄の周遊券を使って北海道を鉄道でよく旅した。大陸を思わせる広大な原野や雪の森を1両や2両のディーゼルカーで行く旅は鉄道マニアでなくても楽しい。鉄道自体が一つの秀逸な観光資源でもあった▼JR北海道が、運行路線のほぼ半分に相当する約1237キロ(10路線13区間)を「単独では維持が困難」と発表したのは11月。うち3区間は廃止が前提、8区間は路線維持費用に沿線自治体の協力を求めるというから、地元の受けた衝撃は想像に難くない▼12月も、高倉健さんの映画ゆかりの留萌線の一部廃止、無人駅10カ所の来春廃止発表と北海道の鉄道をめぐる残念な話題が続いている。頻発する災害の復旧費用も路線存続の逆風になっているようだ▼国鉄時代もローカル線の赤字は問題だったが、民営のJRに国鉄のようなおおらかさを求めるのはどだい無理である。これも時代の変化と甘受せざるを得ないのかもしれない▼言われて久しい「鉄道復権」の時代は、「高速鉄道隆盛」の時代と同義でもあるだろう。その陰で地方のローカル...

【記者手帖】「ミスター新幹線」の先見の明

鹿児島県選出の元衆院議員・小里貞利氏が14日に亡くなった。阪神・淡路大震災対策担当相などを務めたが、「ミスター新幹線」の印象が強い人でもあった。駆け出しのころ取材した九州新幹線鹿児島ルート関連の式典の壇上で熱弁を振るう姿を記憶している◆九州新幹線は無駄の象徴だと批判され、着工まで陳情などに随分苦労したエピソードを話していた。そんな新幹線も開業後は乗客数が伸び、今ではすっかり九州の足として定着した。「国土の均衡ある発展」を訴え、整備に奔走した故人の先見の明に感服するばかりだ◆本格的な少子高齢社会を迎え、あらゆる産業で生産性の向上が課題になっている。人口減少の中、国土を支え、生産性を上げるための手段にはICT(情報通信技術)の活用などもあるが、高速交通網の充実もその一つだろう◆大分県や宮崎県を経由する東九州新幹線構想が再燃している。採算性など課題は多いが、そこから生まれる可能性に期待する地元の声は理解できなくもない。小里氏ならどう思うか、かなわぬことではあるが聞いてみたい。(...

2016年12月26日月曜日

【「稼げる」施設づくりの胎動顕著に】2016年のスポーツ施設整備を振り返る

 2016年も残すところ1週間。日刊建設工業新聞社は紙面やSNSを通じてスポーツ施設整備のニュースを届けてきました。本紙に掲載した記事の中からスポーツ施設の整備に関連する主な記事をピックアップし、あらためて紹介します。  ※記事文末の( )は新聞掲載日。紹介した記事のほか、ブログだけに掲載している記事もあります。よろしければブログの検索機能で「スポーツ」や「スタジアム」のキーワードをどうぞ。 開業後初の大規模改修実施/照明LED化や内野席改良、施工は竹中工務店  東京ドームは、東京都文京区の全天候型多目的スタジアム「東京ドーム」の大規模リニューアル工事を今月始める。内野観客席の全席改良などを通じて快適性を向上させるほか、アリーナ照明のLED化や建物外構部の緑化などで環境負荷の低減を図る。総事業費は約50億円。営業を継続しながら19年1月までに段階的に工事を実施する計画だ。施工は主に竹中工務店が担当する。(1月26日) Jビレッジ復興・再整備、3月に実施設計・施工一括発...

【回転窓】「会」の積み重ねが糧に

記者という仕事をしていると「いろんな人にお会いできるでしょう」とよく言われる。確かにその通り。企業、業界団体、行政機関のトップから現場の最前線で働く人たちまで、お会いする方たちは多種多様だ▼人に話を聞き、文字に起こし、記事にする。単純極まりないこの仕事。お聞きした話の中には、紙面という物理的な制約や記者としての技量のせいで文字にすらできずに終わった内容も少なくない▼インタビューなどをさせていただくと、その人がどんな立場であれ、お聞きした話に素直に感動することも多い。いっそ取材の様子を動画や音声で余すところなく読者の皆さんと共有できればと思うこともしばしばだ▼すぐに記事に反映できなかった言葉も別の記事に反映させたり、後の仕事に生かされたりすることもある。お会いした人の数が記者活動の糧になっていることは間違いない▼石井啓一国土交通相が先日の記者会見で今年を表す漢字1文字を問われ、「会」と答えた。陳情に訪れる自治体の首長たちや外遊先で会談する要人等々、「会」を積み重ねることが国交行政に...

【節目を機にさらなる飛躍めざす】17年に◯◯周年迎える企業、奥村組と大本組が創業110周年

今年も残り1週間を切った。来年2017年に建設業界では、多くの企業が創業や設立からの節目を迎える。上場ゼネコンでは、奥村組と大本組が共に1907(明治40)年の創業で来年が110周年。1917(大正6)年創業の巴コーポレーションは100年企業の仲間入りを果たす。専門工事会社や設備工事会社でも節目を迎える企業が少なくない。各社はそれぞれの節目を機に次への飛躍を目指す。  民間信用調査会社の帝国データバンクがまとめた「周年記念企業調査」によると、17年に10年刻みで節目を迎える企業は全国で14万5103社に達する。建設業では10周年が4882社、50周年が8697社、100周年が124社。特に50周年を迎える企業が多く、業種別では最多の37・4%を占める。  上場ゼネコンのうち、創業110周年を迎える奥村組は、1907年に創業者・奥村太平氏が森本組初代社長の森本千吉組長に弟子入りし、奈良県で土木建築請負業に従事することになったのが始まりだ。土木はシールドや山岳などトンネル建設を得...

【凜】清水建設広島支店土木部・平井恵梨さん

 ◇鉄道工事の遅延解消効果に感動◇  今年入社したばかりの新人技術者。土木を専攻した大学時代から現場での勤務を強く志望してきた。  きっかけは大学を卒業するまで過ごした神奈川県での生活。通学に毎日利用していた鉄道には、特に「開かずの踏切」が多く、電車の遅延も慢性化していた。  車窓から外を眺めると、いつも踏切をなくすための地下バイパス道路の工事が行われていた。高校卒業を間近に控えたある日、工事が終わった。それを境に、電車の遅延がぱったりと解消。衝撃を受けた。  「一瞬の線路の切り替えのために毎日いろんな方たちが現場で頑張ってきたんだと分かった。そこで現場は面白そうだなって」  大学3年の時に経験したゼネコンでのインターンシップを経て現場への興味はさらに強くなった。  入社間もない今年7月、初めて現場に配属された。山口県岩国市の錦川下流で建設中の平瀬ダム。堤体工が最盛期を迎えている今、コンクリート打設に必要な骨材の管理などを任されている。今の目標は配属中に打設作業に立ち...

【建設業の心温まる物語】大伸建設(愛媛県)・渡部静香さん

 ◇初心にかえることができる場所◇  私の父は、建設会社を経営しています。私が大学生のころは、建設工事への投資金額は最低レベルで、建設業に対し希望が持てませんでした。そのため、大学卒業後は父の会社に入らず、別の会社で事務職に就きました。  その後、父の会社のPCの管理を大学時代から手伝っていたことと、育児をするのに時間の都合がつきやすいため、父の会社で働くことになりました。つまり“なんとなく”建設業で働き始めたのです。しかし、大学在学中に測量士補を取得していたこともあり、現場に出て測量をするようになりました。仕事をしているうちに、目の前で物ができていくことが楽しくなり、現場が好きになりました。  そんなある日、工事金額500万円程度の工事を担当することになりました。ダム付近の国道で、トンネルの入口上部に高さ3・5メートルの落石防護柵を設置する工事です。私はその工種の経験が少なく、協力会社の方に仕事を教えていただくばかりの、頼りない現場代理人でした。私の言うことを信じてもらえず、...

【建設業の心温まる物語】木春建築設計(滋賀県)・藤澤忍さん

 ◇思い出の掛け時計◇  私が住宅の現場管理をし始めた頃の話です。住宅にしては大きい物件を担当していました。その年は例年よりもかなり暑く職人さん達は思いどおりに動けず、なかなか作業が進みません。引渡日は決まっていましたが、間に合わないのではないかと、私はかなり焦っていました。  悪いことは重なるもので、その現場を担当していた大工さんが体調を崩し、長期入院されることになってしまいました。その大工さんの息子さんが少しずつ現場を進めてくださいましたが、お伝えしていた引渡日には間に合わない状況となってしまいました。私はもうどうしてよいかわからず、途方に暮れてしまいました。  頭ごなしに叱られることを覚悟して、引渡日が遅れることを施主様にお話ししお詫びにいきました。すると、「大工さんが病気になったのではしかたないね」と現状を理解し、許してくださいました。そればかりか、何度か現場に通うたび、畑で採れたトマトやキュウリを届けてくれました。施主様は、当時一人暮らしで夜遅くまで働いていた私を気遣...

【建設業の心温まる物語】道下電機(福井県)・道下典代さん

 ◇見えない電気が繋げる縁◇ 怒った顔など一度も見たことのない穏やかで優しい祖父は、お祭りになると自転車でうれしそうにお呼ばれにやってきました。昭和のころの話です。  祖父は、後頭部に髪がなく少しごつごつしていました。そんな祖父が亡くなり何年も経ち、それが昔お勤めをしていたころの傷であることを知りました。昔、電力会社に勤めていた祖父は、電柱上で作業をしていました。変電所が送電を切ったとの合図で作業に掛ったのですが、手違いがあり活線だったため電気が入り頭から抜けたのです。その痕です。娘である母や叔母は、幼いころ父の横で寝ると、父の手足はその影響かいつも震えていたと話していました。でも、「一度もつらいとか、痛いとか聞いたことがないね」と話していました。そのため、約1年の闘病生活ののちは現場には復帰せず、集金業務に携わったそうです。  それなのに祖父は、我が娘である母を、電気工事業を営む父に嫁がせて下さいました。自分が危険な目に遭ったのにその電気に関わり電気に触れるその可能性がある...

【サークル】日立建機ラグビー部 パワーディガーズ

 ◇ラグビー日本代表の勢い借りて部員増に期待!!◇  1970年にラグビー経験者が社員に声を掛けて発足。72年からは茨城県ラグビー協会主催の社会人リーグに参加し、会社公認の部として活動している。現在の部員数は約30人。「ラグビーを通じて部員の親交を図ることをモットーに活動している。  日々楽しみながら練習に励んでいる」と代表の宇治克将さん(制御システム事業部先端システム設計部)は話す。  毎週土曜日に行う土浦市内での練習のほか、茨城県内外のラグビーチームとの練習試合を行い、技術の向上を図っている。ラグビー以外にも、部内の懇親会やバーベキュー、合宿や砂浜で行うビーチラグビーなどのイベントで交流を深める。土浦工場の周辺にある高校のラグビー部との合同練習会も企画しており、部員のスキルアップを狙う。  「部員がなかなか集まらないのが悩み」と宇治さんは話すが、「2015年ラグビーワールドカップでの日本代表の大躍進もあり、ラグビー自体の認知度が上がってきているのは事実」と日本代表の勢い...

【駆け出しのころ】不動テトラ常務執行役員ブロック環境事業本部長・中西勉氏

 ◇現場力を磨くことが糧になる◇  就職先を決める時、大学の教授からはあるゼネコンを推薦していただいていました。しかし、雑誌で見たテトラポッドに魅力を感じ、教授にはお断りしました。そうして推薦もなく、就職を希望して訪ねたのが日本テトラポッド(現不動テトラ)です。会社に先輩はいなかったのですが、不安はありませんでした。  入社して最初に配属されたのは、静岡県にある福田漁港の建設現場です。テトラポッドの製作と据え付けなどを行いました。現場に着任して間もないある日、こんなことがありました。先輩社員からウエットスーツを渡され、海の中に入ってブロックの据え付けをしてくるよう言われたのです。  私は普通に泳げましたが、海の中に潜るのとは違います。それも入社したばかりのまだ寒い4月ごろの海です。これは大変な会社に入ったと思いました。潜水作業員もいたはずですが、人手が足りなかったのかもしれません。当時は何でもやったわけです。  この現場には4年ぐらいいました。いきなり潜らされたのにはびっくり...

2016年12月22日木曜日

【自動洗浄でスッキリ】日建リース工業、ヘルメット自動洗浄機開発

 日建リース工業(東京都千代田区、関山正勝社長)がヘルメットの洗浄から乾燥まで最短20秒で完了する専用洗浄機「メットシャワー」を開発した。機械に入れるだけで自動で洗浄を行うため、手間がかからない。17年3月にレンタルを始める予定。  ヘルメットを機械に設置してから約5秒間洗浄し、約15秒で乾燥させる。夏は冷風、冬は温風で乾燥させるため、使用時の快適性が向上する。  水を使用せず、開発した特殊な洗浄剤「メットフレッシュ」を用いて洗う。1回当たりの洗浄液の消費量は3ミリリットル。5リットルの容器に洗浄液を入れて使用するため、約1700回の連続洗浄が可能という。給水・排水設備も不要で、機械をコンセントにつなげられればどこでも使える。主に工事現場や工場などでの使用を想定。建設会社などに積極的に導入を働き掛け...

【17年秋完成めざす】立川市にBリーグ・B2基準アリーナ整備、3000人収容

 ◇17年3月着工めざす◇  立飛ホールディングス(東京都立川市、村山正道社長)は20日、東京都立川市に整備するアリーナの計画概要を公表した。  設計・施工は日本建築構造センター(東京都渋谷区)が担当。施設の収容人数は3000人規模を想定している。17年3月の着工、同年秋の完成を目指す。  計画名称は「(仮称)アリーナ立川立飛」。建設地は多摩都市モノレール線立飛駅北側の立川市泉町500の4(敷地面積8368平方メートル)。土地は同社が所有しており、一部は駐車場として暫定利用している。  建物はS造2階建て延べ5989平方メートルの規模。ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)・B2ライセンスの試合開催基準を満たす施設とする。  立飛駅南側には、立飛ホールディングスと三井不動産が共同開発した大型商業施設「ららぽーと立川立飛」(15年12月開業)がある。同施設と建設するアリーナとともに、周辺地域のにぎわい創出につなげる計画だ。 ...