既存構造物の解体が進む選手村建設予定地。 環2の豊洲大橋(手前)はまだ供用されていない=東京・晴海 |
2020年東京五輪の選手村などを整備するため、東京都が年明けの本体工事着手を予定している「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」(中央区)の雲行きが怪しくなってきた。工事用車両のメインルートとして都が示した案に、渋滞悪化を懸念する地元住民らが強く反発しているためだ。住民らは14日、ルート変更を求める要望書を都と中央区に提出した。
都は工事車両を少しでも減らそうと、建設発生土の一部を海上輸送する計画を立て、これには住民側も理解を示した。
一方、陸上のメインルートとして都道304号(晴海・有明通り)などの活用案を提示したところ、地元が反発。住民らは都が延伸工事を実施中の都道環状2号を活用する案への変更を求めている。晴海・有明通りは現在でも混雑が顕著。そこへダンプなどの工事車両が加われば、渋滞悪化や交通事故の増加を招く恐れがあると地元は懸念する。
都がこの路線をメインルートに選んだ背景には、11月に予定していた築地中央卸売市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転が延期になったことがある。延期がなければ、築地市場の敷地の一部を通過する形で、晴海通りなどと並行する環2の延伸区間(港区~江東区)を年内に暫定開通させ、工事車両のルートにする方針だったからだ。
住民側は、工事が完了している中央区~江東区間の豊洲大橋の部分供用を提案。「ルートが変更されなければ本体着工は認められない」と反発している。ただ、都によると豊洲大橋は構造物としては完成していても信号機の設置や道路交通法上の手続きなどが終わっていない。「庁内でしっかり検討する」としているが、再開発事業の工程に遅れが生じる可能性が出てきた。
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