2016年12月7日水曜日

【技能教育リポート】東京都塗装高等技術専門校(東京都渋谷区)


 ◇「プロ」に必要な基礎知識・技能学ぶ◇

 東京都塗装高等技術専門校(伊原創一校長)は、塗装の基礎技能を身に付けさせながら、職業人として自覚を持って塗装業界の発展に寄与する人材を育てようと1952年に発足した。60年近い歴史を積み重ねた同校を巣立ったのはおよそ1400人。プロの技を身に付けた塗装職人が都内を中心に各現場で活躍する。

 運営母体は、東京都塗装工業協同組合(東装協)。JR渋谷駅に近い塗装会館(東京都渋谷区鴬谷町19の22)内に居を構え、塗装業界全体の底上げを目指す組合の重要事業と位置付ける。

 傘下企業などに入社した塗装職人を目指す若者たちが週1回通い、2年にわたるカリキュラムで塗装の知識や基礎技能を学ぶ。塗装の各種用具を覚え、刷毛(はけ)の使い方やパテの練り、しごきながら地付けする基本作業を習得。基本から応用に広げ、木目調、大理石風など特殊なデザインの塗装の技術も身に付ける。営業や総務に配属された社員も通い、ここで学んだことをそれぞれの仕事に生かしていくのだという。

 塗装施工は、企業ごとに「流派」のようなものがあるがベースは同じ。どんなやり方も、基本をしっかりと押さえておくことが、プロの職人には欠かせない。

 東京都の認定訓練校であり、都が作成したテキストが教材。1日8時間のカリキュラムを1年目に39日間、2年目に44日間こなす。卒業試験の技能照査に合格すれば技能士補の資格が得られ、2級技能検定の学科試験が免除される。

 講師は、会員各社の経営層などを中心に18人が従事。それぞれの経験を生かして塗装の技を指南する。塗料メーカーなどの協力も得ている。荒川支部の伊原塗装社長の伊原氏は、卒業生で初めて校長になった。

 大島教幸氏(41、大島塗装)、阿川祐樹氏(35、阿川美装店)も共に卒業生として講師を務め、「自分の経験も交えて教える」(大島氏)、「大切なのは技術。DIYとは違う」(阿川氏)として、プロ意識を生徒たちに徹底的にたたき込む。

 生徒たちは卒業後、互いに仕事の相談をすることもあるとか。結婚式で、「友」が強調された校歌をみんなで歌うことも、共に学んだ仲間同士のつながりの強さを物語るエピソードだ。

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