清水建設の国際支店があるシンガポール。建設需要が底堅く推移するアジア・オセアニアの国・地域と行き来しやすく、拠点を置く企業は多い。同国の土木・建築工事現場や営業所に2015年に赴任した国際支店所属の3人の若手女性職員に、海外勤務の魅力を聞いた。
地下鉄トムソン・イーストコーストラインの「T207工区」で施工管理や労務調達などを担当。「自分なりの経験の応用を意識し、最善の方法を決断するようになってきて成長したかなと感じる」と心境を明かす。
計画、調整、現地確認…、サポートしてくれる多国籍の仲間と安全に効率良く工事を進めるための仕事を行いながら、「諦めず前向きに、ものづくりと誠実に向き合う技術者」を目指す。
チャンギ総合病院メディカルセンターの現場で、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータなどが詰まったモバイル端末を片手に、アナリストや取引先を前に仕上がりチェックのデモンストレーションを手際よく披露するのは入社6年目の山口泉さん。
建築専攻の学生時代に留学した際、海外で働く同世代を見て海外勤務を決めた。
「男性の多い職場だけれど一人の技術者として向き合ってくれる」
多国籍のスタッフは考え方が異なるがアイデアは豊富で、「先頭に立って引っ張る技術者になり、日本のような信頼関係で成り立つ現場運営に貢献したい」と意欲を見せる。
シンガポール営業所の望月春子さんは、そうした技術スタッフをはじめ駐在員のサポートや経理、ビザの手続きなどを担っている。
入社2年目。海外のインフラ整備に興味があり、入社から半年の研修を終えてすぐ赴任した。
3LDKの駐在員寮で平坂さんらと暮らす。シンガポールでは、出産1カ月前まで働き、産後3カ月で復職するような女性が少なくない。
英語ながら相手の気持ちを考えて会話する気配りも欠かせない。職場の環境は日本と大きく違うが、世界有数の商業都市は刺激にあふれている。
某王室御用達の石けんが日本の8分の1の値段で手に入り、北海道産の牛肉など日本の食材を使った各国の食事も味わえる。「休日はおいしい日本食レストランを探します」と望月さん。上司のホームパーティーで家族のぬくもりを感じたり、隣国でゴルフの腕を磨いたり、3人は息抜きしながら「思っていた以上に温かくて人間くさい職場」(平坂さん)で仕事に励む。
清水建設は総合職の3割に入社から10年以内に海外勤務を経験させる。海外の事業所は、職員に与えられる裁量が大きいのが特徴で、牛頭豊執行役員国際支店副支店長は「日本と違ってレールは敷かれておらず、自分で敷くのが醍醐味」と魅力を語る。赤道直下、日本から5000キロの洗練された都市で、3人それぞれのやり方で経験と実力を養い、後輩を待っている。
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