2016年12月27日火曜日

【江戸城天守、現代に蘇る】東京国立博物館と凸版印刷、江戸城のVR作品制作

 東京国立博物館と凸版印刷は、現存しない江戸城天守を精密に再現したVR(バーチャルリアリティ)作品「江戸城の天守」を制作、来年1月4日から東京国立博物館の東洋館内にあるTNM&TOPPANNミュージアムシアターで公開する。

 石垣や瓦、金具など江戸城を構成する100万以上の部材をデジタル化。史料や歴史考証を元に江戸城天守の姿を再現した。ミュージアムにある300インチの大型スクリーンに実寸大で映し出す映像では葵紋の金具に刻まれた葉脈、鯱の鱗を留めるための鋲も見ることができるという。再現に当たっては天守と同年代に建築された江戸幕府関連の社寺や城郭など、現存する文化財を丹念に取材。細部の意匠再現に役立てた。平成の大修理が進行中の日光東照宮・陽明門の工事現場、金具の製作現場も映像で紹介する。

(上から)寛永の天守全景、再現したかざり金具、天守の構造、金鯱
監修:東京国立博物館 制作:凸版印刷
江戸城天守は1657年の明暦の大火で焼失した。江戸幕府の重臣・保科正之が天守よりも城下の復興に財源を充てるべきだと提言し、再建が見送られたといわれる。VR作品では明暦の大火で焼失せず、築後360年が経過した天守を想定し、経年変化を施した天守を東京の3D地図に合成。現代の街並みと江戸城が融合した景観が鑑賞できる。

 作品の上映期間は2017年1月4日~3月31日。所要時間は約40分で、料金は高校生以上500円、中学生・小学生300円。大学生以上は博物館の入館チケットが別途必要になる。

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